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\centerline{1998年度理科II, III類1年生 数学IA演習・小テスト解説(10)}
\rightline{1998年6月26日・河東泰之}
\rightline{数理科学研究科棟310号室 (電話 5465-7024)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{homepage http://kyokan.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}
\bigskip

配点は[1]から順に$20\times3$, $10\times4$点です.
平均点は48.7点,最高は90点(2人)でした.

この授業では,$f(x,y)$が$(a,b)$で極大値を取ることの定義は,
「$(a,b)$の近くで$(x,y)\neq(a,b)$のとき,
$f(x,y) < f(a,b)$であること」です.したがって
[1] (2)では円周$x^2+y^2=1$上では極大値は取りません.ですが,
「$(a,b)$の近くで
$f(x,y) \le f(a,b)$であること」という定義を使っている
本もあって,こちらだと
[1] (2)の関数は円周$x^2+y^2=1$上で極大値を取ることになります.
こちらの定義を使っていることがはっきりしている答案の場合は
減点してありません.

略解は次のとおりです.

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[1] (1) まず,$f_x=f_y=0$となる点は,
$(0,0), (0,1), (1,0), (1/3, 1/3)$の4つである.
通常の判定法により,
このうち極値になるのは$(1/3,1/3)$だけで,極大値$1/27$を取る.

(2) $x^2+y^2=c$となる円上で関数$f(x,y)$は一定値を取るので
原点以外では極値は取らない.原点では明らかに極小値0を取る.
(偏微分すると,$f_x=f_y=0$となる点は,$(x,y)=(0,0)$と
円周$x^2+y^2=1$上の点になる.)

(3) $f_x=-6x^2+6xy+6y^2+6x$, $f_y=3x^2+12xy+9y^2$
より$(0,0),(1,-1),(9/11,-3/11)$. このうち$(1,-1)$で極大値$1$.
(点$(0,0)$では通常の方法では極値かどうか分からないが,
$x=0$または$y=0$とおくことにより極値ではないことがわかる.)

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[2] (1) 周期関数なので一様連続になる.あるいは,微分した$\cos x$
が有界なことと平均値の定理を組み合わせてもよい.

(2) 一様連続ではない.$x_n=\sqrt{n \pi}$,
$x'_n=\sqrt{(n +\frac{1}{2})\pi}$として$n\to\infty$とすれば
$x_n-x'_n\to0$だが,$|f(x_n)-f_(x'_n)|=1$となるからである.

(3) 微分したものが有界なので,平均値の定理より
一様連続である.あるいは直接$|f(x)-f(x')|$を計算して評価
してもよい.あるいは,$\lim_{n\to\pm\infty}f(x)=0$であることを
使ってもできる.

(4) $|f(1/\delta)-f(\delta+1/\delta)|$を計算して,
一様連続ではないことがわかる.

\bye