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\centerline{数学I A中間テスト(その2)略解・解説}
\rightline{河東泰之}

配点は下記の通りで,合計110点です.100点を越えた場合は100点で頭打ちです.
平均点は,51.9点,得点分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--19 (点) && 20--39  && 40--59 && 60--79 && 89-99 && 100 & \cr
\vsp\t
& 3 (人) && 10 && 10 && 8 && 3 && 2 & \cr
\vsp\t
}}$$

\bigskip
[1] (20点)
$z=0$は明らかに解ではないので,
$z=r e^{i\theta}$ ($r>0$, $0\le\theta<2\pi$)とおいて,
$z^n=r^n e^{in\theta}=1$とすれば,
$r=1, \theta=0,2\pi/n, 4\pi/n,\dots,2(n-1)\pi/n$となるので,
答えは
$z=\cos 2\pi/n+i\sin 2\pi/n$,
$\cos 4\pi/n+i\sin 4\pi/n$, $\dots$,
$\cos 2(n-1)\pi/n+i\sin 2(n-1)\pi/n$の$n$個です.

また,この$n$個が解であることを直接計算し,$n$次方程式には
たかだか$n$個の解しかないこと(因数定理からわかる)を使ってもO.K.です.

\bigskip
[2] (30点)
(1) $\dsize\lim_{n\to\infty}\frac{n^3}{(n+1)^3}=1$より,収束
半径は1です.

(2) $\dsize\lim_{n\to\infty}\frac{(n+1)!}{n!}=\infty$なので,
収束半径は0です.

(3) $$a_n=\cases 1, &\hbox{$n=m^2$となる$m$がある時},\\
0, &\hbox{その他の時}.
\endcases$$
なので,
$\dsize\limsup_{n\to\infty}|a_n|^{1/n}=1$
となり,
収束半径は1です.

\bigskip
[3] (30点) まず切り捨てによって,すでに
$0.0000003333\dots$の誤差が生じていることに注意します.

Taylor展開の剰余項を直接計算すると,
$(\cos c)x^5/5!$, ($0<c<x$)となります.
(問題の式は3次までですが,$\sin$のTaylor展開の
4次の項は0なので,4次まであると思って5次の剰余項を考えます.)
$0<\cos c<1$ですから,この値は
$\frac{(0.1)^5}{5!}=0.00000008333\cdots$
以下です.これと最初の切り捨て誤差を
合わせて,誤差の合計は
$0.000000416666\cdots<4.17\times 10^{-7}$以下となります.

一方,直接Taylor展開の続きの項(無限個)を評価しても,誤差は,
$x=0.1$として,
$$\frac{x^5}{5!}-\frac{x^7}{7!}+\frac{x^9}{9!}-\cdots<
\frac{x^5}{5!}=0.00000008333\cdots$$
なので,最初の切り捨ての分と合わせてと合わせてやはり,
$4.17\times 10^{-7}$以下となります.

Taylor展開の剰余項を直接計算する時,4次の剰余項を使ってしまうと
$(\sin c)x^4/4!$, ($0<c<0.1$)となります.ここで,
$0<\sin c<c<0.1$を使うと,これは
$4.1666\cdots\times 10^{-7}$となります.これと最初の切り捨て誤差を
合わせて,誤差の合計は$7.5\times 10^{-7}$になります.これは
上の答えより精度が悪いので,3点減点します.
またこの方法で,
単に$\sin c<1$としてしまうと,さらに一桁精度が下がって,$4.5\times 10^{-6}$
となります.これは6点減点にしました.

なお,コンピュータで計算すると,
$\sin 0.1=0.0998334166468281\dots$です.

\bigskip
[4] (30点)正の数$M$を,
すべての実数$x$に対して$|f'(x)|<M$となるように取ります.
任意に与えられた正数$\varepsilon$に対し,
$\delta=\varepsilon/M$とおきます.実数$x,x'$に対し,
$0<|x-x'|<\delta$であれば
平均値の定理より,$x$と$x'$の間に$x''$が存在して
$$\left|\frac{f(x)-f(x')}{x-x'}\right|=
|f'(x'')|< M$$
となるので,
$|f(x)-f(x')|<M\delta=\varepsilon$を得ます.これは,すなわち
一様連続性を示しています.

\bye