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\centerline{数学I A中間テスト略解・解説}
\rightline{河東泰之}
\bigskip

[1], [2]は定義がちゃんとわかっているかどうかの問題で,まあよく
できていました.[3]は,少し難しめかも知れませんが,できている人も
結構いました.平均点は,69.875点,得点分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--19 (点) && 20--39  && 40--59 && 60--79 && 89-99 && 100 & \cr
\vsp\t
& 1 (人) && 3 && 8 && 7 && 18 && 3 & \cr
\vsp\t
}}$$

\bigskip
[1] (一つ10点.基本的に0点または10点で付ける.)
もちろんいろいろな例がありますが,簡単なもの(極端なもの)
は,例えば次のとおりです.

(1) $0,1,0,2,0,3,0,4,\cdots$.

(2) $0,1,1,1,1,1,1,1,\cdots$ (2番めからずっと1.)

(3) $a_n=n$.

(4) $0,1,-1,0,2,-2,0,3,-3,0,4,-4,\cdots$.

\bigskip
[2] (40点)
$$\align
\left|\dfrac{3n^2-5n+4}{n^2+1}-3\right|
&=\dfrac{5n-1}{n^2+1}\\
&\le \dfrac{5n}{n^2}\\
&=\frac{5}{n}\endalign$$
だから,
与えられた$\varepsilon>0$に対し,自然数$N$を
$N>\dfrac{5}{\varepsilon}$となるように取れば,
$n\ge N$の時,
$$\left|\dfrac{3n^2-5n+4}{n^2+1}-3\right|\le\varepsilon$$
が成り立つことになります.

\bigskip
[3] (20点)
例えば,
$$\dfrac{1}{2},
\dfrac{1}{4},
\dfrac{2}{4},
\dfrac{3}{4},
\dfrac{1}{8},
\dfrac{2}{8},
\dfrac{3}{8},
\dfrac{4}{8},
\dfrac{5}{8},
\dfrac{6}{8},
\dfrac{7}{8},\cdots$$
といった並べ方が考えられます.(分母は,2のべきのほかにも,
10のべきとか,$2,3,4,5,\cdots$と並べた人もいました.)

ほかの種類の答えとしては,
$\sqrt 2 n$の小数部を取る,$\sin^2 n$, $|\sin n|$,
$\dfrac{1+\sin n}{2}$などがありました.これらはいずれも
正しい答えですが,
これらが本当に問題の条件を満たすことを
示すのはそんなに簡単ではありません.
これらに共通して必要なのは,次の
命題です.

「無理数$\alpha$を一つ決める.この時,
$0\le x\le 1$となる任意の実数$x$と任意の正の数$\varepsilon$に
対し,自然数$n$が,
$|x-(n\alpha-[n\alpha])|<\varepsilon$となるように存在する.
(ただし,$[\ ]$はガウス記号.)」

そこで,これにヒントをつけて,演習問題の[18]とします.
(演習の問題[16]もこれに帰着する問題です.)

\bye