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\centerline{数理科学 II 期末テスト}
\medskip
\rightline{2002年7月25日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

この試験は,「自筆ノート持ち込み可」で行います.
本やコピーなどは持ち込み不可です.
時間は,3時から4時30分までの90分です.答案用紙は1枚両面です.
これに収まるように書いてください.(多少欄外にはみ出してもかまいません.)
解答は途中経過や論理的理由などをきちんと書いてください.
答えの式だけを書いてあるものは大幅な減点になります.
すべての問題で,形式的に微分方程式の両辺を割ったりするときに,
分母が0になる場合の吟味が不十分なものは減点です.

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[1] 次のそれぞれの微分方程式を解け.
解が本当にそれしかないということのきちんとした根拠を示すこと.
(解の一意性に関する一般論を適用する場合は,
何をどのように適用したかを述べること.)

\medskip (1) $xy'-y=x$, $y(1)=1$.
ただし,$x$ の動く範囲は $x > 0$.

\medskip (2) $y'+\dfrac{y}{x^2}=2x+1$, $y(1)=3$.
ただし,$x$ の動く範囲は $x > 0$.

\medskip (3) $y''-4y'+4y=e^x$, $y(0)=0$, $y'(0)=1$.
ただし,$x$ の動く範囲は実数全体.

\bigskip
[2] 微分方程式 $y'-2xy = x e^{-x^2}$ の解 $y(x)$ で,
$\dsize\lim_{|x|\to\infty} y(x)=0$ となるものを求めよ.

\bigskip
[3] 微分方程式 $y'''+a y''+ by' +c y=0$ が次の3条件を満たすとする.

(1) $a, b, c$ は実数の定数である.

(2) 関数 $y=3x e^{2x}$ はこの微分方程式の解である.

(3) この微分方程式の,恒等的には0でない
ある解 $y(x)$ について,$e^x y(x)$ が実数全体で有界な
関数となる.(すなわち,ある定数 $C$ が取れて,すべての
実数 $x$ について $| e^x y(x) | \leq C$ がなりたつ.)

このとき,実数 $a, b, c$の値を求めよ.またこの $a,b,c$ に対し,
この微分方程式の解で,$y(0)=0, y'(0)=3, y''(0)=0$ となる
ものを求めよ.

\bigskip
[4] 微分方程式 $y'=y$, $y(0)=1$ を考える.ただし,$y=y(x)$
は $x$ の関数で,$x$ は実数全体を動くとする.
この微分方程式を逐次近似法によって解くとき,次の問いに答えよ.

(1) 逐次近似によって得られる,解に収束する
関数列 $\{y_n(x)\}_{n=0,1,2,\dots}$ を具体的に求めよ.

(2) 上の関数列の収束先を求め,元の微分方程式を満たしていることを
確認せよ.

[注意] 授業でやった解の存在と一意性の一般定理によって,どのような
方法でも元の微分方程式の解を求めてしまえば,
それが(2)の収束先であるが,ここではそのような一般論によらず,
直接(1)の逐次近似関数列を具体的に書いて極限を求めることによって
解を求めよ,という問題である.

\bye