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\centerline{数理科学 II 期末予備テスト}
\medskip
\rightline{2002年6月20日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

この試験は,「自筆ノート持ち込み可」で行います.
本やコピーなどは持ち込み不可です.
時間は,2時40分から4時10分までの90分です.答案用紙は1枚両面です.
これに収まるように書いてください.(多少欄外にはみ出してもかまいません.)
解答は途中経過や論理的理由などをきちんと書いてください.
答えの式だけを書いてあるものは大幅な減点になります.
すべての問題で,形式的に微分方程式の両辺を割ったりするときに,
分母が0になる場合の吟味が不十分なものは減点です.

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[1] 次のそれぞれの微分方程式を解け.
解が本当にそれしかないということのきちんとした根拠を示すこと.
(解の一意性に関する一般論を適用する場合は,
何をどのように適用したかを述べること.)

\medskip (1) $y'=y+y^2$.

\medskip (2) $y'-2xy=x$.

\medskip (3) $y''+2y'+y=0$, $y(0)=1$, $y'(0)=1$.

\bigskip
[2] $y$ は実数全体で定義された $x$ の関数で,次の微分方程式を
満たしているとする.このとき,$y$ を求めよ.

$$x^2 y'=2xy+y^2.$$

\bigskip
[3] 3つの関数 $y=2e^{2x}, e^{2x}-xe^{2x}, 3e^{-x}+4xe^{2x}$ はすべて,
定数係数3階常微分方程式
$y'''+a y''+ by' +c y=0$ の解であるとする.

(1) このとき,実数 $a, b, c$の値を求めよ.

(2) 上の,$a, b, c$ に対し,微分方程式
$y'''+a y''+ by' +c y=4e^{3x}$の解を一つ求めよ.

\bigskip
[4] 微分方程式
$$P(x,y)+Q(x,y)\frac{dy}{dx}=0$$
で,次の3条件すべてを満たしているものの例を一つ挙げよ.

(1) $P(x,y), Q(x,y)$ はいずれも,$x,y$ の多項式である.

(2) $x=0$ で $y=0$ かつ,$x=1$ で $y=0$ となる,この微分方程式
の解は無限にある.

(3) 任意の実数 $c$ について,$x=2$ で $y=c$ となる,この微分方程式
の解は一つだけ存在する.

ただし,その例が本当に上記の条件を満たしていることを
きちんと説明すること.
また,その微分方程式について,$x=2$ で $y=2$ となる解を求めよ.

\bye