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\centerline{数理科学 II 期末テスト略解・解説}
\medskip
\rightline{2005年7月28日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

配点は順に $10\times3$, 30, 30, 30, 30点の計150点満点です.
この点数 $x_2$ が上に赤で書いてあります.
第2回中間テストの点数を $x_1$ とすると,最終成績 $x$ は前に予告したとおり,
$x=0.3\max(x_1,x_2)+0.7x_2$ (を四捨五入したもの) として計算します.
(ただし $x_1, x_2$ ともに,100点を超えていたら100点で頭打ちです.) 
これが青で書いてある点数で,教務課に報告されるものです.
採点ミスがあると思う人は,ただちに申し出て下さい.
(返却する答案は,すべてコピーが取ってあります.)

期末テスト自体の最高点は143点(1人),平均点は58.7点,その得点の
分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--49 (点) && 50--59 && 60--69
&& 70--79  && 80--89 && 90--99 && 100-- & \cr
\vsp\t
& 41 (人) && 15 && 4 && 13 && 7 && 10  && 15 & \cr
\vsp\t
}}$$

最終成績(青い数字)の平均点は60.8点,その得点の
分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--49 (点) && 50--59 && 60--69
&& 70--79  && 80--89 && 90--99 && 100 & \cr
\vsp\t
& 39 (人) && 9 && 10 && 14 && 7 && 11 && 15 & \cr
\vsp\t
}}$$

これによって,A, B, C, D の人数はそれぞれ,33, 19, 14, 39 人となります.

\bigskip
[1] 「解の存在と一意性の定理が使える」ということを前後とつながりなく,
おまじないのように書いている人がたくさんいましたが,ただこれだけ書いても
意味はありません.(1)を完全型として解いたときのように,必要十分条件の
変形で答えに達すればそもそもこのことは不要です.変数分離として解くの
であれば,このあとに「さらに定数関数0は解なので,それ以外の解は値0を
とらない」とはっきり断る必要があります.

\medskip
(1) 普通に変数分離として解いて,$y=c/(x^2+1)$ ($c$は任意の定数)です.
完全型と思っても解けます.

\medskip (2) 右辺を0とした斉次形の一般解が,
$a e^{2x}+bxe^{2x}+ce^{-x}$ です.また,多項式で特殊解をさがすと,
$y=x^2$ が見つかります.(これを定数変化法でやるとかなりめんどうです.)
あとは初期条件を合わせて,
$e^{2x}-xe^{2x}+e^{-x}+x^2$が解です.

\medskip (3) $x^2$ で割れば線形1階方程式です.
右辺を0とした斉次形の一般解が$cx^3$ で,また特殊解 $1/x$ が見つかるので,
初期条件を合わせて,$-x^3+1/x$が解です.

\medskip
[2] 定数係数線形常微分方程式の解の形より,$y=x\cos x$が解であれば,
$y=\cos x, \sin x, x\sin x$ も解です.これらを解に持つ
定数係数線形常微分方程式は最低4階で,4階のときは,
$y''''+2y''+y=0$ とすればO.K.です.

\medskip
[3] $y=e^{2x}+e^{3x}$ と $y=e^{-x}+e^{3x}$ が解であれば,その差の
$e^{2x}-e^{-x}$ は,右辺を0とした斉次形の解となります.
定数係数線形常微分方程式の解の形より,斉次形の方程式でこの解を持つ
最小階数のものは,$y''-y'-2y=0$ です.あとは,$e^{3x}$が特殊解に
なるようにすればよいので,
$y''-y'-2y=4e^{3x}$ を得ます.

\medskip
[4] $x^2-y^2\neq0$ であれば,両辺これで割って,解の存在定理が使える
形になるので,その点を通る解はあります.また,$(0,0)$ を通る解は
定数関数0があります.$y=\pm x$, $y\neq0$ の点では明らかに
微分方程式を満たしていません.以上より答えは,$y=\pm x$, $y\neq0$
です.

この問題ではこのように,微分方程式を解く必要はありません.
もちろん解くこともできて,同次形なので,
$x^2+(y-c)^2=c^2$ ($c$は定数),または $y=0$ を得ます.
(ただし,$y=\pm x$, $y=0$, $x=0$ などの場合の考察に注意が
必要です.) このことからも上の答えが出ます.

\medskip
[5] 2次方程式 $t^2+at+b=0$ の解によって場合わけします.

(1) 異なる2実根 $\alpha < \beta$を持つ場合.

$\alpha < 0 \le \beta $ が求める条件です.

(2) 2重根 $\alpha$ を持つ場合.

問題の条件は満たしません.

(3) 実根でない二つの複素根を持つ場合.

問題の条件は満たしません.

以上をあわせて,$a, b$ の条件で書くと,
$b<0$ または $(b=0, a > 0)$ となります.

\bye