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\centerline{数理科学 II 中間テスト(1)解答解説}
\medskip
\rightline{2005年5月30日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

平均点は52.9点,最高点は80点でした.これは成績に関係ないので
そのままつけてありますが,期末テスト等では,配点などで配慮して
もう少し点が出るようにします.

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[1] 各問5点.

(1) $\cos x + i\sin x$.

(2) $-1/2$.

(3) $\sin x=x-x^3/3!+x^5/5!-x^7/7!+\cdots$.

(4) $\pi$.

\medskip
[2] 各問15点.

(1) 右辺の $-y/x$ はこのままでも $y$ で偏微分しても連続なので,
解の存在と一意性が保証される. このことと,定数関数 $y=0$ が解で
ることより,他の解は値 $0$ を取らない.よってその場合は,
変数分離で,$\dsize\int \frac{dy}{y}=-\int\frac{dx}{x}$ となる.
これを解いて,$y=0$ もあわせて,$y=c/x$ ($c$ は定数) となる.

(2) 同次形である.$y=ux$ とおいて,
$y'=u'x+u=\dfrac{y^2-x^2}{2xy}=\dfrac{u^2-1}{2u}$ となる.
$\dsize\int \frac{2u}{u^2+1}du=-\int\frac{dx}{x}$ より,
$\dfrac{y^2+x^2}{x^2}=\dfrac{2c}{x}$ ($c$ は0でない定数) となる.
つまり, $(x-c)^2+y^2=c^2$ ($c$ は0でない定数,$y\neq0$) を得る.

(3) $x\neq0$ の範囲では $y'=2y/x$ と書けて,右辺はこのままでも $y$ で
偏微分しても連続なので,解の存在と一意性が保証される.定数関数
$y=0$ は解であり,その他の解は値 $0$ を取らない.変数分離形として
解くと $y=c x^2$ ($c$ は定数) となるが,これは $x\neq0$ での
解である.$x > 0$ と $x < 0$ で違う $c$ であっても $x=0$ では
微分可能につながっていて,微分方程式を満たしている.

(4) 1階線型常微分方程式である.斉次方程式 $y'-x^2 y=0$ の
解は $c \exp(x^3/3)$ ($c$ は定数) である.また,$y=x$ が
$y'-x^2 y +x^3-1=0$ を満たしているので,1階線型常微分方程式
の一般論より,一般解は $c \exp(x^3/3) + x$ ($c$ は定数) である.

\medskip
[3] 配点は20点.

$x\neq n\pi$ ($n$ は整数) では両辺を $\sin x$ で割ることが
できる.すると,変数分離形の微分方程式$y'=\dfrac{y \cos x}{\sin x}$
を得る.右辺はこのままでも $y$ で
偏微分しても連続なので,解の存在と一意性が保証される.定数関数
$y=0$ は解であり,その他の解は値 $0$ を取らない.これより,
$x\neq n\pi$ ($n$ は整数) では $y= c\sin x$ ($c$ は定数) となる.
$x=n\pi$ ($n$ は整数) の点を通る解があれば,$y= c\sin x$ と
連続につながらなくてはならない.これより,$x=n\pi$ ($n$ は整数)
かつ $y=0$ ならば O.K. だが,その他の $y$ の値ではダメである.
よって,$x= n\pi$, $y\neq 0$ ($n$ は整数) である.

\bye