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\centerline{数理科学 II 期末テスト解答解説}
\medskip
\rightline{2003年7月25日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip


配点は順に$10\times3$, 20, 20, 20, 20点の110点満点です.
この点数$x_2$が上に赤で書いてあります.
中間テストの点数を$x_1$とすると,最終成績$x$は前に予告したとおり,
$x=0.3\max(1.3 x_1,x_2)+0.7x_2$として計算します.(ただし$1.3x_1$が
100点を超えていたら100点で頭打ちです.) これが青で書いてある点数で,
教務課に報告されるものです.採点ミスがあると思う人は,ただちに申し出て
下さい.(返却する答案は,すべてコピーが取ってあります.)

期末テスト自体の最高点は 110点(4人),平均点は65.3点,その得点の
分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--49 (点) && 50--59 && 60--69
&& 70--79  && 80--89 && 90--99 && 100-- & \cr
\vsp\t
& 40  (人) && 19 && 15 && 17 && 23 && 16  && 17 & \cr
\vsp\t
}}$$

最終成績(青い数字)の平均点は66.0点,その得点の
分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--49 (点) && 50--59 && 60--69
&& 70--79  && 80--89 && 90--99 && 100 & \cr
\vsp\t
& 40 (人) && 16 && 15  && 19 && 20 && 20 && 17 & \cr
\vsp\t
}}$$

簡単な解答と解説は次のとおりです.

\bigskip
[1] (1) 右辺は連続で,$y$ で連続偏微分可能なので,解の存在と一意性が
使える. $y=0$ は明らかに解で,他の解は値 $0$ をとらない.普通に
変数分離で解いて答えは $y=C e^{-x^2}$. ($C$ は実数の定数.)

\medskip (2) 定数係数線形常微分方程式で右辺は $x$ の連続関数なので,
解の存在と一意性がわかる.右辺を $0$ とおいた斉次形のときの一般解と,
右辺を $2e^{2x}$ としたときの特殊解と,右辺を $x$ としたときの特殊解
を足せば一般解が出る.答えは
$(C_1 x+C_2)e^{2x}+x^2 e^{2x}+(x+1)/4$.
($C_1, C_2$ は実数の定数.)

\medskip (3) $e^x$ で両辺を割って,$y'=\cdots$ の形に書いたとき,
その右辺は連続で,$y$ で連続偏微分可能なので,解の存在と一意性が
使える.斉次形のときの一般解は,$y=C \exp (\exp(-x))$ ($C$ は実数の定数)
で,また $y=x$ が特殊解であることがすぐにわかるので,答えは
$y=C \exp (\exp(-x))+x$.

\bigskip
[2] $C_1 e^{-x}+ e^{2x}$ と $(C_2 x+ C_3) e^x + x^2+4x+6$
を足したものを一般解にすることになる.
($C_1, C_2, C_3$ は実数の定数.) よって,答えは
$y'''-y''-y'+y=3e^{2x}+x^2+2x$.

\bigskip
[3] 二つの解の差をとった,$x e^{2x}-2 e^{-x}$ が斉次方程式の
解である.このとき,この斉次方程式は $e^{2x}, x e^{2x}, e^{-x}$
の3つを解に持たないといけないので,$y'''-3y''+4y=0$ となる.あとは,
$e^{3x}$ が解であるようにすればよいので答えは,
$y'''-3y''+4y=4 e^{3x}$.

\bigskip
[4] $x\neq 0$ の範囲では,$x$ で両辺を割って,$y'=\cdots$ の形に書いたとき,
その右辺は連続で,$y$ で連続偏微分可能なので,解の存在と一意性が
使える.

また,$y=1$ は明らかに解であり,他の解は値 $1$ をとらないので,
$x\neq0$ の範囲で変数分離で解けて,$y=e^{cx}$ ($c$ は実数の定数)
を得る.$x=0$ でも微分可能につながっていないといけないので,
実数全体で $y=e^{cx}$ ($c$ は実数の定数) が答えである.

$(0,a)$, $a\neq 1$, が解を持たない初期値である.($a > 0$ は最初から
仮定に入っている.)

\bigskip
[5] $\sin x, \sin 2x$ の両方が解であれば,$a, b, c$ が実数なので,
3次方程式 $t^3+ a t^2+bt+c=0$ は,根 $t=\pm i, \pm 2i$ を持つことに
なるが,3次方程式の相異なる根の数は最大で3なのでこれは不可能である.
よってそのようなことはない.

あるいは,$y=\sin x, \sin 2x$ を直接微分方程式に代入してもよい.
\bye