\magnification=\magstep1
\documentstyle{amsppt}

\baselineskip 14pt
\NoBlackBoxes
\nopagenumbers
\define\R{\bold R}
\define\Q{\bold Q}
\define\Z{\bold Z}
\define\e{\varepsilon}
\def\lan{\langle}
\def\ran{\rangle}
\def\supp{\text{supp}}

\centerline{数理科学 II 中間テスト(1)解答・解説}
\medskip
\rightline{2003年5月27日}
\rightline{河東泰之 (かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

平均点は57.6点でした.点数分布は次のとおりです.ふだんは,配点や
採点基準を調節して,平均が70点くらいになるようにするのですが,
今回は成績に関係ないのでそのような調節はしませんでした.成績に
関係ある試験の場合は,今回の採点よりプラス10点くらいになると思います.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}
\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--49 (点)  && 50--59  && 60--69 && 70--79 && 80--89 &&
90--99 && 100 & \cr
\vsp\t
& 33(人)  && 17 && 14 && 13 &&  15 &&   6 && 0 & \cr
\vsp\t
}}$$

簡単な解説をつけます.

\bigskip
[1] (5点$\times4$) これは答えだけ書きますが以下のとおりです.
特に(1), (2)くらいは忘れてもらっては困るんですが...

(1) $\cos x + i\sin x$.

(2) $x-\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^3}{3}-\dfrac{x^4}{4}+\cdots.$

(3) $1$.

(4) $1-2x^2+3x^4-4x^6+5x^8-\cdots$.

\medskip
[2] (20点) これもよくあるものです.
たとえば次のものが答えです.

$$X=\left(\matrix
3 & 2 \\
5 & 3 
\endmatrix\right)$$

\medskip
[3] (10点$\times3$)
いずれも解の存在と一意性が使える形になっています.

(1) 普通に変数分離型なので,$y=\dfrac{-1}{x+c}$
($c$ は実数の定数) または,$y=0$.

(2) 普通に変数分離型なので $y=\tan (x+c)$ ($c$ は実数の定数).

(3) $x >0$ なので $u=y/x$ とおけて,
このとき $\dfrac{du}{dx} x= u\dfrac{1-u^2}{1+u^2}$ である.
あとは普通に解いて,
$x^2+c^2=(y+c)^2$ ($c$ は実数の定数) または,$y=0$.

\medskip
[4] (30点) $y\neq0$ では解の存在と一意性が使える形であり,
$y=(x-c)^3/27$ を得る.
あとは,次のように場合わけする.

(1) 常に $y=0$ の場合.

(2) $y$ は正の値を取るが負の値をとらない場合.

(3) $y$ は負の値を取るが正の値をとらない場合.

(4) $y$ は正の値も負の値もをとる場合.

これに対応して以下の4通りの解があり,これらがすべてである.

(1) $y=0$ (定数関数).

(2) 正の値をとる点では解の一意性が使えて,そこから解が連続に
つながっているので,
ある実数の定数 $c$ に対し,$y=(x-c)^3/27$ の形の解を
$x\geqq c$ で得る.$x < c$ で正の値を取る点があると,
$x\geqq c$ での解の一意性に反することがわかるので,結局
$x < c$ では常に $y=0$ となり,解は次のとおりである.
$y=\cases (x-c)^3/27, &\text{$x\geqq c$ の時}\\
0, &\text{$x < c$ の時}.\endcases$

(3) (2)と同様に考えて,次の解を得る.

ある実数の定数 $c$ に対し,
$y=\cases
(x-c)^3/27, &\text{$x \leqq c$ の時}\\
0, &\text{$x > c$ の時}.\endcases$

(4) まず,(2)のように考えて,あとは負の値を取る点についても(3)のように
考えればよい.解は次のとおりである.
ある実数の定数 $c_1, c_2$ で $c_1\leqq c_2$となるものに対し,
$$y=\cases
(x-c_1)^3/27, &\text{$x \leqq c_1$ の時}\\
0, &\text{$c_1 < x < c_2$ の時}\\
(x-c_2)^3/27, &\text{$x\geqq c_2$ の時}.\endcases$$
($c_1=c_2$ならば右辺の三つのケースのうち二番目は起こらない.)

\bye