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\centerline{2002年度全学ゼミナール演習問題}
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\rightline{2002年6月5日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室 (電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}

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これらは自分で理解を深めるための問題です.別にレポートにするとか,
前で解くとかいったものではありません.

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[1] (1) 無限大超実数全体の集合は,internal ではないことを示せ.

(2) 無限小超実数全体の集合は,internal ではないことを示せ.

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[2] 以下のことを示せ.

超実数を係数とする超自然数次の$*$多項式を考えると,
これは,超複素数を根とする1次式の$*$有限積に分解される.

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[3] $x$ が普通の実数であって,かつ,超有理数であれば,普通の
有理数であることを示せ.

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[4] Bolzano-Weierstrass の定理,「有界実数列は集積点を持つ」
を,non-standard analysis を用いて証明せよ.
(ヒント: 前回の問題[6]を使う.)

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[5] 任意の超実数について,それに無限に近い超有理数が存在する
ことを示せ.

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[6] 次の定理を non-standard analysis を用いて証明せよ.

$f(x)$ は実数上で定義された実数値関数で,任意の実数 $x, y$
に対し $f(x+y)=f(x)+f(y)$ を満たすとする.$f(x)$ が,
ある空でない開区間上で有界ならば,$f(x)= f(1)x$ である.

ここで,$f(x)$ の連続性は仮定されていないことに注意せよ.
ヒントとして次の方針を挙げる.

(1) 任意の超有理数 $\rho$ に対して,$f(\rho)=f(1)\rho$ である
ことを示す.

(2) 任意の無限小超実数 $\varepsilon$ に対して,$f(\varepsilon)$
も無限小であることを示す.

(3) 任意の実数に対し,上の[5]を使う.

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[7] 実数の有界数列 $(a_n)$ に対し,実数を対応させる写像
LIM が次の条件を満たすとき,Banach (バナッハ) 極限と呼ぶ.

(1) $a_n \ge 0$ ならば,$\hbox{LIM}(a_n)\ge 0$.

(2) $\hbox{LIM}(\alpha a_n+\beta b_n)=\alpha \hbox{LIM}(a_n)+
\beta \hbox{LIM}(b_n)$.

(3) $\limsup_n a_n \ge \hbox{LIM}(a_n) \ge \liminf_n a_n$.

(4) $\hbox{LIM}(a_{n+1})=\hbox{LIM}(a_n)$. ただし,ここで
数列 $(a_{n+1})$ は,$a_2,a_3,a_4,\dots$ という数列のことである.

Non-standard analysis を用いて,Banach 極限が存在することを示せ.

\bye