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\def\limsup{\mathop{\overline{\hbox{lim}}}}
\def\liminf{\mathop{\underline{\hbox{lim}}}}

\centerline{解析学IV演習問題}
\medskip
\rightline{1996年5月14日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip
今年から授業と演習の時間が短くなり,具体的な例や問題を
考える時間が減っています.そこで
演習問題を配ります.これは自分で考えるためのもので,
前で解くとか,レポートを提出するとかいうものではありません.
比較的基本的な問題を集めたつもりなので,
小テストの復習とともに,ぜひやっておいてください.
なお,*印の問題は,伊藤清三「ルベーグ積分入門」に出ている
ものです.

\bigskip [1]*
$\Gamma$を集合$X$上の外測度とする.$X$の部分集合$A$と,
$\Gamma$-可測な部分集合$B$について,$\Gamma(A\cup B)+
\Gamma(A\cap B)=\Gamma(A)+\Gamma(B)$であることを示せ.

\bigskip [2]*
$(X,{\Cal B},\mu)$を測度空間で,$\mu(X)=1$となるもの
とする.
$A_1,A_2,\dots\in{\Cal B}$がすべて$\mu(A_n)=1$を満たすとき,
$\mu(\bigcap_{n=1}^\infty A_n)=1$であることを示せ.

\bigskip [3]*
$(X,{\Cal B},\mu)$を測度空間とする.$A_1,A_2,\dots\in{\Cal B}$が
$\dsize\sum_{n=1}^\infty \mu(A_n)<\infty$を満たす時,
$\dsize\mu(\limsup_{n\to\infty} A_n)=0$,
$\dsize\mu(\liminf_{n\to\infty} A_n^c)=\mu(X)$であることを示せ.

\bigskip [4]
$(X,{\Cal B},\mu)$を測度空間とする.$X$の部分集合$A$で
$\mu(A)=0$または,$\mu(X\setminus A)=0$となるもの全体を
集めたものを${\Cal B}'$とする.この${\Cal B}'$は
完全加法族であることを示せ.

\bigskip [5]
集合$X$に対し,そのすべての部分集合全体を${\Cal B}$とする.
この${\Cal B}$上の外測度$\Gamma$を,
$\Gamma(\varnothing)=0$, $\Gamma(A)=1$ ($A\neq\varnothing$
の時)で定義する.この時,$\Gamma$-可測な集合は何か?

\bigskip [6]* $\R^n$の部分集合$A$に対し,
$\mu^*(A)=\mu^*(-A)$であることを示せ.
ただし,ここで$-A=\{-x\mid x\in A\}$である.

\bigskip [7]* $E\subset \R^n$を可測集合で$\mu(E)<\infty$と
なるものとする.$x\in\R^n$が0に近づく時,
$\mu(((E+x)\cup E) \setminus ((E+x)\cap E))\to0$
であることを示せ.

\bigskip [8] $R^n$の可測集合$A$で,
$\mu(A)\neq\sup\{\mu(U)\mid U\subset A, U\text{は開集合}\}$
となるものの例をあげよ.

\bigskip [9]
$A=\{(x,y)\in\R^2\mid x^2+y^2\le1\}$に対し,そのLebesgue
測度を求めよ.

\bigskip [10]
$\theta$を無理数とする.また,$[0,1)$を$\R/\Z$と同一視して,
加法群と思う.この時,$x,y\in[0,1)$に対し,整数$n$が
$x-y=n\theta$となるように取れるとき,$x\sim y$と定義する.
この同値関係の同値類から一つずつ元を取って作った集合$X$は
Lebesgue可測ではないことを示せ.

\bye