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\baselineskip 14pt
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\define\R{\bold R}
\define\Q{\bold Q}
\define\Z{\bold Z}
\define\N{\bold N}
\define\ind{\text{ind}}

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 2の簡単な解説}
\medskip
\rightline{1996年4月30日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip [1]
答は,
$$\align
&\{\varnothing, X\},\\
&\{\varnothing, \{a\}, \{b, c\}, X\},\\
&\{\varnothing, \{b\}, \{a, c\}, X\},\\
&\{\varnothing, \{c\}, \{a, b\}, X\},\\
&\{\varnothing, \{a\}, \{b\}, \{c\}, \{a, b\},
\{b, c\}, \{a, c\}, X\},\\
\endalign$$
の5つ.(答案ではもっとちゃんと説明して下さい.)

\bigskip [2]
$1/n$は正だから,無限個のものをどのような順序で足しても結果は
同じである.したがって,$m$は有限加法的であり,また完全加法的
である.(もっと,長い問題中でこういうのが出てくれば,「明らかに
完全加法的」でも,まあいいんですがここではわざわざ理由を
聞いてるんですから,何かちゃんと書いてもらわないと減点です.)

\bigskip [3]
(1)は簡単.また,$m(A)$は$A$に含まれている整数の個数
(無限大も含む)を数えているので,明らかに有限加法的であり,
また完全加法的である.(この問題は,授業でやったことからは
ただちには従いません.)

\bigskip [4]
(1) 有理数$p$に対し,$\{p\}$はいくらでも小さい区間で
覆えるので,$\mu^*(\{p\})=0$.有理数全体は
可算集合だから,$\Q=\{p_n\mid n\in \N\}$と書いて,
$\mu^*(\Q)\le \dsize\sum_{n=1}^\infty \mu^*(\{p_n\})=0$より,
$\mu^*(\Q)=0$.

(2) $\mu^*([0,1])=1$はすぐわかる.また,(1)と同様にして,
$\mu^*(\Q\cap [0,1])=0$なので,
劣加法性より,
$$\mu^*([0,1])\le \mu^*(\Q\cap [0,1])+
\mu^*((\R\setminus \Q)\cap [0,1])=
\mu^*((\R\setminus \Q)\cap [0,1])\le\mu^*([0,1])$$
となることを用いて,$\mu^*((\R\setminus \Q)\cap [0,1])=1$を得る.

これは,いきなりノーヒントでは難しかったかもしれません.
特に(1)で,授業で説明した「確率1/2でランダムに分けた集合」
の例と混同した人が多かったんですが,有理数は無理数より
ずっと「少ない」ので,この場合は状況が全然違います.

\bigskip
配点は1番から順に,30, 20, 20, 30点です.
平均点は42.6点でした.
\bye