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\def\limsup{\mathop{\overline{\hbox{lim}}}}
\def\liminf{\mathop{\underline{\hbox{lim}}}}

\centerline{解析学特別演習I・レポート問題}
\medskip
\rightline{1996年12月18日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip

解析学特別演習Iの単位を落としている人のためのレポート問題です.
解析学IVの単位を(本試験または追試験で)取っていることが
レポート提出の資格です.以下の問題をすべて解いて,1月10日までに
事務室に提出してください.

\bigskip
[1] $f(x)$を$[0,1]$上の有界なLebesgue可測関数とする.
任意の自然数$n$と,$0\le k\le n-1$となる自然数
$k$に対し,
$g_{k,n}(x)=\chi_{[k/2^n,(k+1)/2^n]}(x)$と
おいたとき,$\dsize\int_0^1 g_{k,n}(x)f(x)\;dx=0$
であるとする.(ただし,$\chi_{[k/2^n,(k+1)/2^n]}(x)$
は区間$[k/2^n,(k+1)/2^n]$の特性関数を表す.)
このとき,$f(x)$は$[0,1]$上ほとんどいたるところ
0に等しいことを示せ.

\bigskip
[2] $p\in(1,\infty)$に対して,複素数列の
空間$\ell^p(\Z)$を,
$\{(a_n)_{n\in\Z}\mid \sum_{n\in\Z} |a_n|^p < \infty\}$
と定義し,$a=(a_n)\in \ell^p(\Z)$
に対し$\|a\|_p=(\sum_{n\in\Z} |a_n|^p)^{1/p}$
とおく.

$x=(x_n)\in\ell^1(\Z)$を固定し,
$a=(a_n)\in \ell^2(\Z)$に対し,数列$x*a$を
$(x*a)_n=\sum_{k\in\Z} x_{n-k} a_k$と定める.次の3つを示せ.

(1) すべての$n\in\Z$について,無限級数$\sum_{k\in\Z} x_{n-k} a_k$
は絶対収束する.

(2) $x*a\in\ell^2(\Z)$である.

(3) $\|x*a\|_2\le \|x\|_1 \|a\|_2$である.

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[3] 次の条件を満たす$\R$上の複素数値Lebesgue可測可積分関数
$f(x)$をすべて求めよ.きちんと根拠を説明すること.

$\R$上の任意の複素数値有界Lebesgue可測関数$g(x)$と
任意の実数$t$に対し,
$$\int_{-\infty}^\infty g(x)f(x)\;dx=
\int_{-\infty}^\infty g(x-t)f(x)\;dx$$
が成り立つ.

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[4] 次の条件を満たすような$\R$上の$L^2$-関数の列
$\{f_n(x)\}_n$の例を一つ挙げよ.きちんと説明をつけること.

$\R$上の連続関数$g(x)$で,ある有界区間の外では
0になるようなものすべてについて,
$$\dsize\int_{-\infty}^\infty f_n(x)g(x)\;dx\to0$$
であるが,$\R$上のある$L^2$-関数$f(x)$については,
$$\dsize\int_{-\infty}^\infty f_n(x)f(x)\;dx\to0$$
とはならない.

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[5] $f(x)\in L^\infty(0,1)$とする.
このとき,
$$\sup_{g\in L^1(0,1),\|g\|_1\neq0}\frac{\|fg\|_1}
{\|g\|_1}=\|f\|_\infty$$
であることを示せ.


\bye