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\begin{document}
\centerline{2016年解析学IV期末テスト解答解説}
\medskip
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室 (電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

配点は順に,15点,10点$\times2$,15点,20点,15点,15点です.
100点満点で平均点は63点,最高点は100点(6人)でした.
得点分布は以下の通りです.

\begin{table}[h]
\begin{tabular}{|r|r|r|r|r|r|r|r|r|r|r|r|} \hline
0--9 &10--19 & 20--29 & 30--39 & 40--49 & 50--59 & 60--69 & 70--79 
& 80--89 & 90--99 & 100 & 合計 \\ \hline
1(人) & 3 & 3 & 6 & 3  & 1 & 6  & 9 & 6 & 6 & 6 & 50 \\ \hline
\end{tabular}
\end{table}

この得点と成績が赤字で書いてあります.成績は100点がA+(6人), 
80点以上がA(12人), 60点以上がB(15人), 40点以上がC(4人), それ未満が
D(13人)です.

演習の成績(悪い2回分を除いた平均)は,平均点は44点,最高点は100点
(1人)でした.得点分布は以下の通りです.

\begin{table}[h]
\begin{tabular}{|r|r|r|r|r|r|r|r|r|r|r|r|} \hline
0--9 &10--19 & 20--29 & 30--39 & 40--49 & 50--59 & 60--69 & 70--79 
& 80--89 & 90--99 & 100 & 合計 \\ \hline
2(人) & 3 & 5 & 2 & 4  & 8 & 12  & 5 & 5 & 1 & 1 & 48 \\ \hline
\end{tabular}
\end{table}

こちらの成績が青字で書いてあります.成績は91点以上がA+(1人), 
68点以上がA(13人), 
50点以上がB(19人), 30点以上がC(6人), それ未満がD(9人)です.
ただし期末試験の成績が特に良かった人は,
本来より良い成績がついています.

\underline{演習の単位だけを落として,その単位が欲しい人は
講義の方の追試を受けてください.}

\bigskip
[1] たとえば $f_k(x)=\chi_{[k,k+1/k]}(x)$ が一つの例です.

ほかにも $f_k(x)=\displaystyle\frac{\chi_{[k,k+1]}(x)}{x}$ 
などたくさんあります.

\bigskip
[2] (1) 数列 $1,c,c^2,c^3,\dots$ の任意の
部分数列の和に書ける実数の全体の集合を $E'$ とおき,$E'$
の Lebesgue 外測度が $0$ であることを示せば十分です.
Lebesgue 外測度を $\mu^*$ で表します.

まず和としてできる実数の範囲は $[0,1/(1-c)]$ に収まっています.
最初に $1$ を使わないと,和としてできる実数の範囲は
$[0,c/(1-c)]$ の範囲に収まり,最初に $1$ を使うと,
和としてできる実数の範囲は $[1,1/(1-c)]$ の範囲に収まります.
今仮定より$ c/(1-c)<1$ なので,最初の区間$[0,1/(1-c)]$
のうち,$(c/(1-c),1)$ の範囲は取りえないことがわかります.
これより $\mu^*(E')\le(2c)/(1-c)$ です.
次に$2$個目の$c$ を使うか使わないかで場合分けすると,
上で残った閉区間$2$つのそれぞれから開区間が除かれます.
同様に計算すると $\mu^*(E')\le(2c)^2/(1-c)$ となります.
以下同様にして $\mu^*(E')\le(2c)^k/(1-c)$ が導かれるので
$\mu^*(E')=0$ を得ます.

(2) $0$より大きく$2$以下の実数は$2$進小数展開することにより
$E$ の元であることがわかります.(有限小数で表せる実数は
$1$を無限に並べた無限小数表示を使います.)
それ以外の実数は $E$ の元では
ないので $E=(0,2]$ であり,測度は $2$ です.

\bigskip
[3] $f(x)=0$ のときは
$\displaystyle\frac{kf(x)}{kf(x)+1}=0$ であり,
$f(x)>0$ のときは $k$ について単調増大で
$\displaystyle\frac{kf(x)}{kf(x)+1}\to1$ です.
よって単調収束定理より,$E=\{x\mid f(x) > 0\}$ として
求める極限は
$\displaystyle\int_E\;dx=\mu(E)$ です.よって求める
条件は $\mu(E)<\infty$ です.

\bigskip
[4] まず $\displaystyle\frac{x-\sin x}{x^3}$
は $x\to0$ のとき有界なので,被積分関数は可積分です.
$t$ は有界開区間 $(a,b)$ (ただし $a>0$)を動くとします.
被積分関数を $t$ で $k$回偏微分すると
$\displaystyle -e^{-tx} \frac{x-\sin x}{x^{3-k}}$
となりますが,これの絶対値は $t\in(a,b)$ のとき
$\displaystyle e^{-ax}\frac{|x-\sin x|}{x^{3-k}}$
という$t$によらない可積分関数で抑えられます.
よって積分記号下の微分が
何回でもできて,$f(t)$ は $t$ の$C^\infty$級関数となります.

「$t$によらない可積分関数で抑えられる」という条件を
チェックしていないものは0点です.

\bigskip
[5] 問題の関数は $\displaystyle\int_{\mathbb R} \chi_E*\chi_E(x)
e^{-ixt}\;dx$ です.これを
$$\int_{\mathbb R}\int_{\mathbb R} \chi_E(x-y)\chi_E(y)
e^{-i(x-y)t}e^{-iyt}\;dy\;dx$$ と書くと,被積分関数に絶対値を
つけたものを$y,x$ で積分したものは $\mu(E)^2<\infty$ となって
可積分なので,Fubini の定理が使えて,上記積分は
$f(t)^2$ に等しくなります.

Fubiniの定理の使える条件をきちんとチェックしていないものは
0点です.

\bigskip
[6] $|f|^{3/2},|g|^{3/2}\in L^2(X)$ なので H\"older の定理より,
$|f|^{3/2}|g|^{3/2}\in L^1(X)$ となります.つまり,
$|f||g|\in L^{3/2}(X)$ となります.$2/3+1/3=1$より,
$|h| \in L^3(X)$ と合わせて再び H\"older の定理より,
$|f||g||h|\in L^1(X)$ を得ます.

ほかにも相加相乗平均の不等式を使うなど簡単な方法があります.

\end{document}