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\centerline{解析学IV 小テストNo\. 15 略解・解説}
\medskip
\rightline{2000年7月24日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{{\tt e-mail: yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}

\bigskip

今回の配点は[1]から順に30, 40, 30点で,
平均は28.9点,最高は95点(1人)でした.
採点はTeaching Assistantの岸本君(1番)と勝良君(2番, 3番)です.
簡単な解説をつけます.

\bigskip [1]
$\R$のかわりに$\Z$にすれば授業とまったく同様に証明できます.
つまり,Fubiniにあたるのは今は,「正項級数の和を取るとき
はどのような順序で足してもよい」というあたりまえのことで,
あとは,$p=1$のときはただ和を取る順序を変えるだけでよく,
$p > 1 $のときは$\R$の時と同様にH\"olderの定理を使います.

\bigskip [2]
(1)は$L^1$で平行移動する操作が$L^1$-normで連続なことから
わかります.

(2) たとえば$f(x)=g(x)=1/\sqrt{|x|}$とでもすればよいでしょう.

\bigskip [3]
そのような$f(x)$は存在しません.仮に存在したとしましょう.
$g(x)$として,正値compact台で積分値が1のまま台が小さくなって
行くようなもの$g_n(x)$を授業のように取ります.もし,$f*g_n=g_n$とすると,
任意の正の数$r$について,$n$を十分大きく取ったとき
右辺は$(-\infty,-r)\cup(r,\infty)$で0ですから,$\|f*g_n-f\|_1\to0$
より$f(x)$も,$(-\infty,-r)\cup(r,\infty)$上ほとんどいたる
ところ0ということになります.$r > 0$は任意ですから,
$f(x)$はほとんどいたるところ0になりますが,それではおかしいことは
明らかです.

\bigskip [お詫び]
前回皆さんの答案に書いた平均点の計算に誤りがありましたが,
A--Dの成績には影響しません.また,15回目の点を考慮した平均でも,
A--Dの成績に変化はありませんでした.
15回目も計算に入れた正しい平均点は,期末テストと一緒に知らせます.

\bye