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\define\N{\bold N}
\define\e{\varepsilon}

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 13 略解・解説}
\medskip
\rightline{2000年7月18日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{{\tt e-mail: yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}

\bigskip

今回は問題にミスプリントが多くてすみませんでした.

今回の配点は[1]から順に30, 20$\times2$, 30点で,
平均は17.8点,最高は75点(1人)でした.
採点はTeaching Assistantの勝良君です.
簡単な解説をつけます.

\bigskip [1]
$\dsize \sum_{k=1}^n |\Phi(E_k)| \le \int_E |f(x)|\;d\mu$
であることは簡単ですから左辺のsupを取っても不等号はこのままです.
ここまでで10点です.

逆向きは$f(x)$の値域の方を$\e$きざみの正方形に分割すれば,小さい
正方形上での偏角をほぼ打ち消しあうことができるのでO.K.です.
(小さい誤差を許せば正方形は有限個で済み,各正方形の逆像を$E_k$と
すればO.K.です.)あるいは単関数での近似でも同様に偏角を
打ち消せます.単純に「実部と虚部に分ければ最初から実数値と
してよい」というのは誤りです.

\bigskip [2]
$\mu(E) < \infty$という条件が最初抜けていて訂正しました.
どうもすみません.

(1) $\chi_E$が$L^1$なので,平行移動が$L^1$-normについて連続なこと
からできます.あるいは同じことですが,$\chi_E$を
compact台の連続関数で近似してもできます.

(2) $f(0) > 0$なので,$\delta > 0$を
$|x| < \delta$ならば$f(x) > 0$であるように取ります.
このとき,$|x| < \delta$ならば$x\in\tilde E$であることが
わかります.

\bigskip [3]
左辺の積分は
$$\int_\R \int_R \chi_{A+x}(y)\chi_B(y)\;dy\;dx=
\int_\R \int_R \chi_{y-A}(x)\chi_B(y)\;dy\;dx$$
に等しいことが簡単にわかりますが,
ここでFubiniの定理を使って積分の順序を入れ替えると,
$\mu(A)\mu(B)$が出てきます.Fubiniが使えるのは関数が正値で可測
だからです.この根拠をきちんと述べていないものは20点の減点です.

\bye