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\centerline{解析学IV 小テストNo\. 5 略解・解説}
\medskip
\rightline{2000年5月23日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{{\tt e-mail: yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}}
\rightline{{\tt http://kyokan.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}

\bigskip

今回の配点は[1]から順に40, 30, 30点で,
平均は38.8点,最高は85点(1人)でした.
採点はTeaching Assistantの岸本君です.
簡単な解説をつけます.

\bigskip [1]
これは簡単で,$\R$の空でない開集合のLebesgue測度は真に
正なので,$f(x)=g(x)$となる点が稠密にあるということです.

\bigskip [2]
いろいろ作り方はありますが,たとえば
有理数に番号を付けて$\{p_n\}_n$として,
$f(x)=\dsize\sum_{n; p_n < x} \frac{1}{2^n}$とすれば
比較的簡単にできます.
これは稠密な点でgapがあるように作ってあるので,問題の性質
を満たすことがわかります.

また,[3]の例はこちらの例にもなっています.

\bigskip [3]
これはほぼ全滅で,説明抜きでかなり正解に近い答えを書いていた
人が一人いただけでした.

たとえば再び有理数に番号を付けて$\{p_n\}_n$として,
$$f(x)=
\cases \dsize\sum_n \frac{1}{2^n}\frac{1}{|x-p_n|},&
\text{無限級数が収束するとき,}\\
0,&\text{その他のとき,}\endcases$$
とすればできます.$x$が有理数のときも「その他のとき」
と解釈しますが,この「その他のとき」が起こる$x$全体の
測度が0であることが次のようにわかります.

$I_n=(p_n-\dfrac{1}{\sqrt2^n},p_n+\dfrac{1}{\sqrt2^n})$とおくと,
$I_n$の外では,$\left|\dsize\frac{1}{2^n}\frac{1}{|x-p_n|}\right| \le
\dfrac{1}{\sqrt2^n}$です.だから,
$\dsize\bigcup_{n\ge k} I_n \cup \{p_1,\dots,p_{k-1}\}$の外では
無限級数は,$$\hbox{(有限項)}+\left(\dsize\sum_{n \ge k}\dfrac{1}{\sqrt2^n}
\hbox{で抑えられる項}\right)$$
となって,収束します.$k\to\infty$とすると,
$\dsize\bigcup_{n\ge k} I_n \cup \{p_1,\dots,p_{k-1}\}$の測度は0に収束す
るので,結局ほとんどいたるところこの無限級数は収束します.

だから本質的には
$f(x)$は第1の場合で表され,
どのような空でない開区間をとっても,その中の$p$について
$\dfrac{1}{|x-p|}$の形の項を含むので積分は無限大になります.
\bye