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\centerline{解析学IV 小テストNo\. 4 略解・解説}
\medskip
\rightline{2000年5月16日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{{\tt e-mail: yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}}
\rightline{{\tt http://kyokan.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}

\bigskip

今回の配点は[1]から順に35, 35, 30点です.
採点はTeaching Assistantの岸本君です.
平均は28.0点,最高は97点(1人)でした.
測度論の基礎的な部分は終わったので,少し本格的(?)な問題にして
みましたがそのせいか,できはよくありませんでした.
簡単な解説をつけます.

\bigskip [1]
$g_k(x)=\dsize\sum_{n=1}^k f_n(x)$とおくと,
講義でやったことより,
$-\infty=\dsize\liminf_{k\to\infty}g_k(x)$,
$\dsize\liminf_{k\to\infty} g_k(x) < \dsize\limsup_{k\to\infty} g_k(x)$,
$\dsize\limsup_{k\to\infty}g_k(x) = \infty$のいずれかが成り立つ
点$x$全体の集合は可測集合($\Cal B$の元)です.
それ以外の点では,$\dsize\sum_{n=1}^\infty f_n(x)$が有限の値,
$\dsize\liminf_{k\to\infty} g_k(x) = \dsize\limsup_{k\to\infty} g_k(x)$に
収束しているので,結局あわせて$f(x)$は可測関数であることがわかります.

\bigskip [2]
$\Gamma$-可測集合は,
$$E_n = \cases I_n\text{の任意の部分集合}&
\text{$a_n=0,\infty$のとき,}\\
\varnothing\text{または}I_n &\text{その他のとき,}
\endcases$$
と言う形の$E_n$によって$E=\bigcup_{n\in\Z} E_n$と表せる
ような$E$の全体です.

また実数値可測関数は,
「$0 < a_n < \infty$であるような $n$ については
$I_n$上定数であるような関数」です.
(その他の$n$については制限はありません.)

いずれもまじめに定義をたどっていけばできます.注意すべきなのは
$a_n=0,\infty$のときの処理だけです.$a_n=\infty$のときの
考慮を忘れている人がかなりいました.

\bigskip [3]
$U$が空集合のときは明らかに答えは$\{0\}$なのでその他の場合を考えます.
(この場合はtrivialなので別に考えていなくても減点はしていません.)

$U$内の稠密な可算集合を$\{x_n\mid n=1,2,3,\dots\}$
とします.$\e > 0$を任意に取り,
$E =U \cap \bigcup_{n=1}^\infty 
(x_n-\dfrac{\e}{2^n}, x_n+\dfrac{\e}{2^n})$ とおくと,
これは$U$内の稠密開集合で,その測度は
2$\e$以下です.次に $t\in [0,\infty)$について
$E_t=((-t,t)\cup E)\cap U$とおくと,これも$U$内の稠密開集合
です.また$\mu(E_t)$は$t$の実数値連続関数であることがすぐにわかり,
また$\dsize\lim_{t\to\infty} \mu(E_t)=\mu(U)$なので,
$\Phi$の元のLebesgue測度として取りうる値の集合は,$(2\e,\mu(U)]$を
含みます.ここで$\e > 0$が任意であったことより,求める値の集合は
$(0,\mu(U)]$を含みます.一方,求める値の集合がこれに含まれることは
明らかなので,結局答えは$(0,\mu(U)]$です.

多くの人が,$\mu(U)$しか取りえないことを示そうとしていましたがそれ
は誤りです.

\bye