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\newsymbol\varnothing 203F

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 12の簡単な解説}
\medskip
\rightline{1997年7月14日}
\rightline{河東泰之}

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[1] 任意の実数$a$に対し,$E=E(f(x) > a)$とおきます.
$F=E(f(x-y) > a)$とすると,$F$は$\dfrac{1}{\sqrt2}E\times \R$
を$-45$度回転した集合になっています.$\dfrac{1}{\sqrt2}E\times \R$
は$\R^2$で明らかにLebesgue可測なので,一般に集合$A$が
$\R^2$でLebesgue可測な時に,$A$を回転した集合もLebesgue
可測であることを示せば十分です.

まず,$A$が測度0の場合を考えます.測度0と言うことは,辺が
座標軸に平行な長方形可算個の和で覆うことができ,それらの
長方形の面積の和をいくらでも小さくできると言うことです.
長方形を回転しても測度が変わらないことはすぐにわかるので,
このことより,$A$を回転してもLebesuge可測で,
測度は0であることがわかります.

次に一般の$A$の場合を考えます.授業でやった定理より,
可算個の閉集合$F_n$, 可算個の開集合$U_n$が,
$\dsize\bigcup_{n=1}^\infty F_n \subset A \subset 
\bigcap_{n=1}^\infty U_n$,
$\mu(\dsize\bigcap_{n=1}^\infty U_n \setminus
\bigcup_{n=1}^\infty F_n)=0$となるように取れます.
開集合,閉集合は回転してもそれぞれ開集合,閉集合
ですから,上にやった測度0の場合の話から,$A$を
回転した集合についても上の$A$と同様の性質
が成り立ちます.Lebesgue測度の完備性より,これは
$A$を回転したものがLebesgue可測であることを意味しています.

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[2] $\R$のLebesgue可測集合$A$で,
$\dsize\int_A f(x)\;dx\ge0$であるようなもの全体を
$\Cal M$とします.これは区間の有限和を含む単調族だから
すべてのBorel集合を含んでいます.
次に$\R$のLebesgue可測集合$A$を任意に取ります.
上と同様に
可算個の閉集合$F_n$, 可算個の開集合$U_n$が,
$\dsize\bigcup_{n=1}^\infty F_n \subset A \subset 
\bigcap_{n=1}^\infty U_n$,
$\mu(\dsize\bigcap_{n=1}^\infty U_n \setminus
\bigcup_{n=1}^\infty F_n)=0$となるようにとれます.
$\dsize\bigcup_{n=1}^\infty F_n$,
$\dsize\bigcap_{n=1}^\infty U_n$はBorel集合だから,
$\Cal M$に属し,したがって$A$も$\Cal M$に属します.
後は,$E_n=E(f(x) < -1/n)$とすれば,$\mu(E_n)=0$がすぐにわか
るので,$E=E(f(x) < 0)$としたとき,$\mu(E)=0$です.

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配点は[1], [2]各50点です.
最高点は40点(2人),平均点は11.3点でした.

\bye