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\documentstyle{amsppt}

\baselineskip 14pt
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\define\R{\bold R}
\define\Q{\bold Q}
\define\Z{\bold Z}
\define\N{\bold N}
\define\e{\varepsilon}
\newsymbol\varnothing 203F

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 10の簡単な解説}
\medskip
\rightline{1997年6月30日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip [1]
$f(x)$が可積分だから,
任意の$\e > 0$に対し,
$$\dsize\int_{-\infty}^a |f(x)|\;dx+
\dsize\int_b^{\infty} |f(x)|\;dx < \e/3$$
となる$a,b$が取れる.この$a,b$に対し,
$$\dsize\int_a^b f(x)\sin nx\;dx=
\left[f(x)\frac{-\cos nx}{n}\right]_a^b+
\int_a^b f'(x)\frac{\cos nx}{n}\;dx$$
であるから,$n > N$ならば,
$\left|\left[f(x)\dsize\frac{-\cos nx}{n}\right]_a^b\right| < \e/3,$
$$\left|\int_a^b f'(x)\frac{\cos nx}{n}\;dx\right|\le
\frac{1}{n}\int_a^b |f'(x)|\;dx < \e/3$$
となるような$N$が取れる.これは, $n > N$のとき
$\left|\dsize\int_{\infty}^\infty f(x)\sin nx\;dx\right| < \e$
を意味しているから,求める極限は0である.

\bigskip [2]
$|f(x)|\le C$となる$C$を取れば,
$F(t)=\dsize\int_\R f(x)g(x-t)\;dx$と書けるから,
$$\align
|F(t+h)-F(t)|&=
\left|\int_\R f(x)(g(x-t-h)-g(x-t))\;dx\right|\\
&\le C \int_R |g(x-t-h)-g(x-t)|\;dx
\endalign$$
を使えば授業でやった定理より,$h\to0$のときに
右辺$\to0$になる.

\bigskip [3]
$t$のかわりに$t+is$を代入して,授業でやったように積分記号下の
微分を行えば,Cauchy-Riemann方程式を満たしていることが
わかるので,複素平面での正則関数が得られる.それを
実軸上に制限したものが$f(t)$だから実解析的である.

\bigskip
配点は[1] 30, [2] 40, [3] 30点です.
最高点は100点(2人),平均点は26.2点でした.

\bigskip\bigskip
補講は7月24日(木)10:00-12:00に決めました.部屋はいつもと同じ
です.2人$\times\times$
の人がいてすみませんが,最後の補講の回の分は試験の範囲には
入れません.

それから,「演習の問題が難しすぎる」という意見がいくつかあったの
でそれに答えます.「演習」では,自分でじっくり考えてほしいのと,
かなりよくできる人もいるので,ある程度難しめの問題もわざと出して
います.その場でちゃんとできればもちろんそれでけっこうですが,
みんながそうできるはずだと思っているわけではないので,むしろ
あとで自分でゆっくり考えて見ることを期待しています.(普通に前で
解く,という形式の演習であれば当然うちで考えてくるわけですから
それと同じことです.)そういうことも考慮して,演習の成績については
去年は(悪いほうから2回分を除いた)平均点が20点まで通しています.
期末試験の難易度,成績評価についてはこれとは別に
ちゃんと考慮するつもりです.

それから,ホームページの過去の演習問題の\TeX fileがうまく扱えない,
という意見がありました.教育用計算機センターでやるときは,
最初に$\backslash$input amstexというのをつければいいんですが,
ほかでもよくわからないという意見があったので,
それに考慮してdvi fileもおいてあります.

\bye