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\def\ran{\rangle}

\centerline{数理科学 IV 中間テスト(2)略解・解説}
\medskip
\rightline{2005年7月11日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

120点満点です.平均点は72.6点,最高点は120点(1人)でした.

\bigskip
[1] 10点$\times3$ です.標準的方法でできるので,答えだ書いておきます.

(1) Jordan 標準形は $$\left(\matrix
1 & 1  \\
0 & 1
\endmatrix\right)$$で,最小多項式は
$(x-1)^2$です.

(2) Jordan 標準形は $$\left(\matrix
-1 & 1 & 0 \\
0 & -1 & 0 \\
0 & 0 & 2
\endmatrix\right)$$で,最小多項式は
$(x-2)(x+1)^2$です.

(3) Jordan 標準形は  $$\left(\matrix
1 & 1 & 0 \\
0 & 1 & 1 \\
0 & 0 & 1
\endmatrix\right)$$で,最小多項式は
$(x-1)^3$です.

\medskip
[2] 30点です.これも普通の方法でできます.
答えは一つではありませんが,たとえば,
$$P =\left(\matrix
1 & 0 & 2 \\
-1 & -1 & 1 \\
2 & 1 & 0
\endmatrix\right)$$です.また,(問題では聞いていませんが)
Jordan 標準形は
$$\left(\matrix
-1 & 0 & 0 \\
0 & 2 & 1 \\
0 & 0 & 2
\endmatrix\right)$$となります.

\medskip
[3] 30点です.まず固有多項式は $t$にかかわらず,
$(x-2)^2(x+1)$となっています.したがって最小多項式が2次式になるとすれば
それは$(x+1)(x-2)$しかありえません.これになるようにすると,
$t=3$ がわかります.

\medskip
[4] 30点です.まず $A(x)$ の標準形は
$$\left(\matrix
1 & 0 & 0 \\
0 & x-1 & 0 \\
0 & 0 & x(x-1)
\endmatrix\right)$$となります.

$B(x)$ の標準形がこれになるためには,すべての $2\times2$ 行列式の
最大公約多項式が $x-1$ である必要があります.右上の $2\times 2$
部分に注目して,この行列式が $x-1$ で割れるために
$p(1)=1$ が必要です.また行列式が $cx(x-1)^2$ ($c$は0でない定数)
の形でなくてはいけないので,$p(x)$ は2次式以上にはなれません.
あとは実際に行列式を計算すれば,$p(x)=ax+(1-a), a\neq1$ が必要で,
これで十分であることもわかります.

\bye