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\def\ran{\rangle}
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\centerline{1999年度3年生解析学VI期末テスト・略解・解説}
\rightline{2000年2月10日}
\rightline{河東泰之}
\rightline{数理科学研究科棟323号室 (電話 5465-7078)}
\rightline{{\tt e-mail: yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}}
\rightline{{\tt http://kyokan.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

1番の配点は,正解で0点,不正解で$-20$点です.その後の問題は
各30点の150点満点です.最高点は
125点で得点分布は次のとおりでした.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&&\omit &&\omit &\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--19 (点) && 20--39 && 40--49 && 50--59  && 60--69 && 70--79 && 80--89 &&
90--99 && 100-- & \cr
\vsp\t
& 6(人) &&  3 && 6 && 5 && 5 && 2 && 1 && 0 && 2 & \cr
\vsp\t
}}$$

平均点は46.7点でした.
30点未満がD(6人),30点〜44点がC(6人),45〜64点がB(9人),
65点以上がA(9人)です.点数の横に赤字で書いてあるのがこの
授業の成績です.ただし,2人については演習の
小テストの成績が特に良かったのでD$\to$B, B$\to$Aというアップをして
います.この人たちの成績には赤字に丸印がついています.
また演習の成績はその横に青字で書いてあります.一度も小テスト
を受けていない人には「未受験」の「未」が書いてあります.
2人について,期末テストの成績が前に予告した小テストの通算成績
より特に良かったので,その分のアップがついています.
この人たちの成績には同様に青字に丸印がついています.その他の
人の演習の成績は小テストの通算成績から変わっていません.
ただし実際に成績表につく成績は,この成績と大島先生のほうの演習の
成績との良い方です.

以下各問題について簡単に解説します.

\bigskip [1] これは予想以上に悪いできでした.できなかった人は
必ずきちんと確認しておいてください.不等号を逆向きに
書いた人は$-20$点,「正値」というのを忘れた人は$-10$点です.
(不等号の向きに不安があれば,例を考えてみればすぐにわかるでしょう.)

\bigskip [2] ずるくやれば,
$-2\pi i \chi_{[0,\infty)}(\xi) e^{-\xi}$を逆Fourier変換すれば
問題の関数になるので,これが答えです.
あとは,超関数を使う,留数を直接計算する,などの方法でももちろん
できます.留数の方は,問題の関数が$L^1$ではなく$L^2$なだけなので,
なぜ積分路を大きくした極限として求められるのか,説明が必要です.

\bigskip [3]
$f(kx)$のFourier係数を$b_n$とおいて定義どおりやれば,
$$b_n=\cases
a_{n/k},&\quad
\text{$n$が$k$の倍数の時},\\
0,&\quad \text{それ以外の時},\endcases$$
になります.$f(x)$のFourier級数展開の式でいきなり
$x$に$kx$を代入する方がさらに簡単ですが,収束の意味($L^2$-収束)に
ついてきちんと説明して理由を書く必要があります.

\bigskip [4]
これはよくできてました.まじめに順番にやれば簡単です.

\bigskip [5] これはPoissonの和公式の証明と同様にやれば
できます.答えは$\dsize\sum_{n\in\Z} a_n \delta_n$です.
収束のことを考えずに形式的にやっても正しい答えは出ますが,
説明が不十分なら減点です.

\bigskip [6]
これはちゃんとできていた人は一人もいませんでした.
$(1+|\xi|^2)^s |\hat f * \hat g (\xi)|^2$が可積分であることを
示すことになりますが,$s$だけで決まる定数$C$があって,
$$(1+|\xi|^2)^s \le C((1+|\xi-\eta|^2)^s+(1+|\eta|^2)^s)$$
と評価できることを使えば,あとは$g\in H^s(\R)$なので
Youngの不等式の証明と同様にしてできます.

\bye