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\centerline{解析学特別演習II・小テスト解答解説 (2)}
\rightline{2010年11月1日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

最高点は80点(1人),平均点は30.5点でした.
簡単な解説を下につけます.積分の計算は,
留数計算でやっている人がほとんどでした.もちろん
それでもできますが,Fourier 変換の問題なので,
そうやった方が簡単にできます.

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[1] $\chi_{[-1,1]}(x)$ の Fourier 変換は
$(2\sin\xi)/\xi$ なので,この関数の
$L^2$-norm について Plancherel の定理を使います.
求める積分を $I$ とおくと,$2=4 I /(2\pi)$ となるので,
答えは $I=\pi$ です.

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[2] [1] で見たように,$\chi_{[-1,1]}(x)$ の Fourier 変換は
$(2\sin\xi)/\xi$ なので,$\chi_{[-1,1]}*\chi_{[-1,1]}$ 
の Fourier 変換が,$(4\sin^2\xi)/\xi^2$ です.これを
逆変換して,$\dfrac{\sin^2 x}{x^2}$ の Fourier 変換は,
$\pi \chi_{[-1,1]}*\chi_{[-1,1]}/2$ です.(ここで,$\xi=0$ と
おいたものが [1] の答えです.)

一般に,もし $f$ が急減少関数であれば,$xf$ の Fourier 変換は
$i\hat f'$ でした.今,$\dfrac{\sin^2 x}{x^2}$ は急減少では
ありませんが,もし同様にできたとすると,微分できない点は
無視して,$\dfrac{\sin^2 x}{x}$ の Fourier 変換は
$\pi i(\chi_{[-2,0]}(\xi)-\chi_{[0,2]}(\xi))/2$ と期待されます.

これが本当に答えであることは逆 Fourier 変換してみるとわかります.

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[3] (1) $C_0({\bold R})$ が,$L^2({\bold R})$ で
稠密であることより,授業でやったとおり平行移動が $L^2({\bold R})$ で
連続です.このことよりすぐに結論がわかります.

(2) $X=\{f*g\mid f,g\in L^2({\bold R})\}$,
$Y=\{\hat f\mid f\in L^1({\bold R})\}$ とおきます.

まず,$f$ が ${\bold R}$ 上の急減少関数の時,
$f(x)e^{itx}$ の Fourier 変換は,$\hat f(\xi-t)$ です.
($t$ は実数.) 急減少関数たちは,$L^2({\bold R})$ で
稠密であるので,このことは $f\in L^2({\bold R})$ でも
なりたちます.これと Plancherel の定理より,$f,g\in L^2({\bold R})$
のとき,$fg$ の Fourier 変換は,
$\dfrac{1}{2\pi}\hat f*\hat g$ となります.

ここで,$f,g$ が,$L^2({\bold R})$ 全体を動けば,$fg$ が
$L^1({\bold R})$ 全体を動くので,$Y=X$ がわかります.

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[4]  $\dfrac{1}{\cosh x}$ の Fourier 変換は
$\dfrac{\pi}{\cosh (\pi\xi/2)}$ であることを10月18日の
授業でやりました.よって,$\dfrac{x^2}{2\cosh x}$ の Fourier 変換は
$\left(\dfrac{-\pi}{2\cosh (\pi\xi/2)}\right)''$ です.
$\xi=0$ とおいて答えは $\pi^3/8$ です.

\bye