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\def\ran{\rangle}
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\centerline{解析学特別演習II・小テスト解答解説 (8)}
\rightline{2011年2月3日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

最高点は100点(3人),平均点52.9点でした.
簡単な解説をつけます.

\bigskip
[1] 超関数として微分すると,$f'=\chi_{[-1,0]}-\chi_{[0,1]}$ であり,
$f''=\delta_{-1}-2\delta_{0}+\delta_{1}$ です.$f'$ はすべての
$L^p({\bold R})$ に入り,$f''$ はどの $L^p({\bold R})$ にも入らない
ことに注意します.$f_k$ を $(2k-1)$回微分すると,
$f_k^{(2k-1)}=f''*\cdots*f''*f'$ ($f''$ が $k-1$ 個と $f'$
の convolution)であり,
$2k$回微分すると $f_k^{(2k)}=f''*\cdots*f''*f''$
($f''$ が $k$ 個の convolution) となります.一般に $\delta_a$ との
convolution が平行移動であることとあわせると,
$(2k-1)$ 階微分まではすべての$L^p({\bold R})$ に入り,
$2k$ 階微分から先はどの $L^p({\bold R})$ にも入らないことが
わかります.

\bigskip
[2] たとえば次のものが例です.
$$f(x)=\cases \dfrac{(x+2)^2}{2},&\hbox{$-2\le x \le -1$の時,}\\
1-\dfrac{x^2}{2},&\hbox{$-1\le x \le 1$の時,}\\
\dfrac{(x-2)^2}{2},&\hbox{$1\le x \le2$の時,}\\
0,&\hbox{その他の時.}\endcases$$

この関数を超関数として3回微分すると,
$$f'''=\delta_{-2}-2\delta_{-1}+2\delta_{1}-\delta_{2}$$
となります.これを Fourier 変換して,
$$-i\xi^3\hat f(\xi)=e^{2i\xi}-2e^{i\xi}+2e^{-i\xi}-2e^{-2i\xi},$$
すなわち $\hat f(\xi)=2(2\sin\xi-\sin2\xi)/\xi^3$
です.($\hat f$ は $L^2$ でないといけないので原点でもこうなります.)
これより問題の条件が出ます.

[1] の問題の $f$ が,$s<3/2$ まで $H^s({\bold R})$ に入ることは
授業でやりました.そこで,これを1回積分すればだいたいいいんですが,
単に1回積分すると $L^2$ にならないので,上のように少し細工してから
積分しました.

$1/(1+|\xi|^3)$ の Fourier 逆変換なども答えですが,ここで聞いている
具体的な表示の条件に合っていません.

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[3] たとえば,$\dfrac{1}{1+x^2}$, $\dfrac{\sin x}{x}$ などがそうです.
指数減少しているが,$C^\infty$-級でない関数を Fourier 逆変換したもの
はすべて答えになります.

\bye