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\def\ran{\rangle}
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\centerline{解析学VIの内容について}
\rightline{1995年10月}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究棟310号室(電話 5465-7024)}
\bigskip
この授業の内容は,Fourier変換・級数,超関数論の初歩,
関数解析の初歩です.具体的には,次のような内容を
カバーします.

(1) 関数空間.($L^p(\R)$など.)

(2) $\R^n$上のFourier変換とその基本性質,例.

(3) $\T^n$上のFourier級数とその基本性質,例.

(4) Schwartzの超関数の理論と例.超関数のFourier変換.
($\Cal D'$, $\Cal E'$, $\Cal S'$など.)

(5) 関数解析の初歩.(Banach空間,Hilbert空間と,
その共役空間,その上の線型作用素.)

私は3年前に同じ授業を教えましたが,その時と比べ,
超関数の部分が増え,関数解析の部分がかなり減ります.

なお,来年度からカリキュラムの大幅改訂が予定されており,
この授業も週3時間から2時間に短くなる見込みです.
それにしたがって内容もだいぶ減るはずなので,ここの3年生で
この内容をやるのは皆さんでおそらく最後になるでしょう.

特に教科書はありません.(ぴったりこの授業に対応するような
本はないと思います.)
授業だけ聞いていればわかるように
やるつもりですが,
参考書をあげてくれという声が常に多くあるので,いくつか有名な
本をあげておきます.括弧の中の章数はこの授業に直接
対応する章です.

\noindent
藤田宏・伊藤清三・黒田成俊,「関数解析」,岩波講座基礎数学,
岩波書店.(1,2,3,4,5,6,8章.)

\noindent
熊ノ郷準,「偏微分方程式」,共立数学講座14,共立出版.(4章.)

\noindent
伊藤清三,「ルベーグ積分入門」,数学選書4,裳華房.(V, VI章.)

\noindent
黒田成俊,「関数解析」,共立数学講座15,共立出版.
(1,2,3,4,5,7,8章.)

\noindent
宮寺功,「関数解析」,理工学社.(1,2,3,4章.)

\noindent
竹之内脩,「関数解析」,近代数学講座13,朝倉書店.(1,2,5章.)

\noindent
G. Pedersen, ``Analysis now'', Graduate Texts in Mathematics
118, Springer Verlag. (Chapters 2,3,6.)

\noindent
H. L. Royden, ``Real analysis'', Macmillan. (Chapters 6,10.)

\noindent
W. Rudin, ``Real and Complex Analysis'', Tata McGraw Hill.
(Chapters 3,4,5,9.)

\noindent
W. Rudin, ``Functional Analysis'', Tata McGraw Hill.
(Chapters 2,3,4,6,7.)

\noindent
K. Yosida, ``Functional Analysis'', Springer. (Chapters II, IV, VI, X.)

成績については次のように付ける予定です.
まず,11月27日に中間テストを行います.その
点数を$x_1$,
期末試験の点数を$x_2$として,最終成績$x$を,
$x=0.3\max(x_1,x_2)+0.7x_2$と計算します.また,演習時間中に
随時小テストを行い,その結果をプラス$\alpha$として使います.
(あとで,これより皆さんにとって有利な方向に幾分変更することは
ありえます.)試験は自筆ノート持ち込み可で行います.

以下,この授業を私が3年前にやったときの試験成績分布を付けます.
(これは成績の付けかたの大体の基準を示すためのものです.
今年はこれより分布がよくなるようがんばってください.)
試験の平均点は,42.1点でした.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--19 (点) && 20--39  && 40--59 && 60--79 && 80--99 && 100 & \cr
\vsp\t
& 17 (人) && 13  && 14 && 5 && 3 && 8 & \cr
\vsp\t
}}$$

この点数$x$と演習で問題を解いた回数$n$によって,次のように成績を
決めました.

\roster
\item $80\le x$の場合:成績A(11人)
\item $50\le x< 80$の場合:成績B(12人)
\item $30\le x< 50$の場合:成績C(11人)
\item $x< 30$かつ$x+10n\ge30$の場合:成績C(3人)
\item $x+10n<30$の場合:成績D(23人)
\endroster

そしてDの人については4月に追試を行い,受験者
12人中,30点以上の5人を合格にしました.

\bye