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\centerline{解析学特別演習II・小テスト解説 (5)}
\rightline{2006年12月4日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

採点はTeaching Assistantの石谷君です.
平均は33点,最高は80点(1人)でした.
簡単な解説をつけます.

\bigskip
[1] (40点) $N$ は自然数全体を動くとして,
「$\Q+i\Q$を係数に持つ多項式を$[-N,N]$に制限したもの」
を考えればそのような関数たちは可算個であり, $L^2(\R)$ で稠密
になります.

\medskip
[2] (30点)
$g_n(x)=(n/\sqrt{\pi})e^{-n^2x^2}$ とおきます.
$\hat g_n(\xi)=e^{-\xi^2/n^2}$ です.$g_n\in L^1(\R)\cap
L^2(\R)$ なので,$f*g_n \in L^1(\R)\cap L^2(\R)$ です.
この Fourier 変換は $\hat f \hat g_n$ で,これは $L^2(\R)$
の元になります.$\hat g_n$ の形と,$\hat f\in L^2(\R)$
であることより,
$\{\hat f \hat g_n\}$ は $L^2(\R)$ における Cauchy 列である
ことがわかり,$\{f*g_n\}$ も $L^2(\R)$ における Cauchy 列
になります.したがって,部分列に移ることにより,
$\{f*g_{n_k}\}_k$ はある $L^2$-関数にほとんどいたるところ
各点収束します.一方,$\{f*g_n\}$ は,$f$ に $L^1$-収束
しているので,$\{f*g_{n_k}\}_k$ の部分列が,$f$ 
にほとんどいたるところ各点収束します.これより,
上の「ある $L^2$-関数」が $f$ にほとんどいたるところ
等しいことになり,$f$ が $L^2$ であることが導かれます.

\medskip
[3] (30点) $f\in L^1(\R)$, $f\notin L^2(\R)$ で,測度0の集合上で
値を変えても連続にできないものを取れば O.K. です.

(2)については,もしも $\hat f\in L^1(\R)$ になったとすると,
Fourier 逆変換によって $f$ はある連続関数にほとんどいたる
ところ一致することになってしまうからです.

(2)については,もしも $\hat f\in L^2(\R)$ になったとすると,
上の問題[2]によって,$f\in L^2(\R)$ になってしまうからです.

具体的にはたとえば,$f(x)=\dfrac{\chi_{(0,1)}(x)}{\sqrt{x}}$
ととれます.

\bye