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\centerline{2005年度解析学VII・関数解析学期末テスト}
\rightline{2005年9月30日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

この試験はノート持ち込み可で行います.
時間は3時間です.

\bigskip
以下すべての問題で,$\bold R^n$ 上では通常の
Lebesgue 測度を考えています.

\bigskip [0]
Lebesgue の収束定理のステートメントを書け.

\bigskip [1] 次のおのおのについて,条件を満たす例を挙げよ.
その例が条件を満たしていることをきちんと説明すること.

(1) $L^2({\bold R}^2)$ の関数列で,0 に弱収束しているが
強収束はしていないもの.

(2) $L^2({\bold R})$ の関数列 $\{f_n\}_n$ で
$\{g\in L^2({\bold R})\mid (f_n,g)\to0\}$ は,
$L^2({\bold R})$ で稠密だが,$\|f_n\|_2\to\infty$ となるもの.

(3) Hilbert 空間 $H$ から $H$ への有界線形作用素 $T$ であって,
単射でかつ像が稠密だが,全射ではないもの.

(4) Hilbert 空間 $H$ から $H$ への有界線形作用素 $T$ であって,
$T$ は compact 作用素でないが,
$T^2$ は 0 でない compact 作用素となるもの.

(5) Hilbert 空間 $H$ から $H$ への有界線形作用素 $T$ であって,
単射で像は閉集合だが,Fredholm 作用素ではないもの.

\bigskip [2] Hilbert 空間 $H$ 上の有界線形作用素の
列 $\{T_n\}_n$ を考える.任意のベクトル $x,y\in H$ について,
$\lim_{n\to\infty} (T_n x, y)$ が存在するならば,
ある有界線形作用素 $T$ が存在して
$\lim_{n\to\infty} (T_n x, y) = (Tx, y)$ となることを示せ.

\bigskip [3] $\bold R$ 上の可測関数 $f(x)$ を考える.

(1) $\text{ess.}\sup_x |f(x)|$ の定義を述べよ.

(2) 「すべての $g\in L^2(\bold R)$ について
$fg\in L^2(\bold R)$となる」ことの必要十分条件は
$\text{ess.}\sup_x |f(x)| < \infty$ であることを示せ.

(3) $\text{ess.}\sup_x |f(x)| < \infty$ であるとき,
$g\in L^2(\bold R)$ に $fg\in L^2(\bold R)$ を対応させる写像 $T$
は,$L^2({\bold R})$ 上の有界線形作用素であって,そのノルムは
$\text{ess.}\sup_x |f(x)|$ に等しいことを示せ.

\bigskip [4]  $1 < p < \infty$, $1/p+1/q=1$ とする.
$f\in L^p({\bold R})$ に対し
$$K_f=\{g\in L^q({\bold R})\mid 
\int_{-\infty}^\infty f(x)g(x)\;dx=0\}$$
とおく.$L^p({\bold R})$ 内の関数列 $\{f_n\}_n$ に
対し,$\{f_n\}_n$ の
有限線形結合たちが $L^p({\bold R})$ で稠密であるための
必要十分条件は $\bigcap_n K_{f_n}=\{0\}$ である
ことを示せ.

\bigskip [5] $f\in L^1({\bold R})$ を取り,
$L^2({\bold R})$ 上の有界線形作用素 $T$ を
$Tg=f*g$, $g\in L^2({\bold R})$ で定める.このとき $T$ が
compact 作用素になるのは $f$ がどのようなときか.

\bye