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\centerline{2004年度解析学VII・関数解析学期末テスト}
\rightline{2004年9月10日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

この試験は自筆ノート持ち込み可で行います.
時間は3時間です.

\bigskip
以下すべての問題で,$\bold R$, $[0,2\pi]$ 上では通常の
Lebesgue 測度を考えています.

\bigskip [1]
$X$ を有限次元ノルム空間,$Y$ を Banach 空間,$T$ を $X$ から
$Y$ への線形作用素とする.このとき $T$ は必ず有界であると
言えるか.理由をつけて答えよ.

\bigskip [2] $1 < p < \infty$ のとき,
数列空間 $\ell^1$ は $\ell^p$ の部分空間であることを示せ.
これは閉部分空間であるか? 理由をつけて答えよ.

\bigskip [3]
$1\le p < \infty$ とし,$L^p([0,2\pi])$ を考える.
この Banach 空間における点列 $\{f_n\}_{n=1}^\infty$ を 
$f_n(x) =e^{inx}$, $x\in [0,2\pi]$ で定める.このときこの点列
は,$L^p([0,2\pi])$ において弱収束しているか.
理由をつけて答えよ.

\bigskip [4] 
$H=L^2([0,2\pi])$ とし,$g\in L^1([0,2\pi])$ を 一つ選ぶ.
任意の $f\in H$ に対し,
$f+g*g*g*f$を対応させる作用素を $T$ とおくと,この $T$ は,
$H$ 上の Fredholm 作用素であることを示し,その index を求めよ.

ただし,ここで $*$ は合成積であり,$[0,2\pi]$ 上の可測関数を
$[0,2\pi)$ 上の関数とみなしてさらに,$\bold R$ 上の周期
$2\pi$ の関数と思って定義されるものである.

\bigskip [5] 
$g\in L^2({\bold R})$ に対し,
線形写像 $T_g: L^\infty({\bold R})\to L^2({\bold R})$ を,
$f\in L^\infty({\bold R})$ のとき,$T_g f=fg$ と定める.
このとき次の問に答えよ.

(1) $T_g$ が単射であることと,$T_g$ の値域が稠密であること
は同値であることを証明せよ.

(2) $T_g$ が全射になることはあるか.理由をつけて答えよ.

\bigskip [6]
$L^\infty({\bold R})$ 内の関数列 $\{F_n(x)\}_n$ についての
次の4条件は互いに必要条件,十分条件であるか.理由をつけて答えよ.

(1) $\sup_n \|F_n\|_\infty < \infty$ であってかつ,
$L^2({\bold R})$ のある稠密な部分空間$K$に対し,
$$f\in K \Rightarrow \|F_n f\|_2 \to 0$$
がなりたつ.

(2) すべての$f\in L^2({\bold R})$について
$\|F_n f\|_2 \to 0$がなりたつ.

(3) $L^2({\bold R})$のある稠密な
部分空間$K$に対し,
$$f\in K \Rightarrow \|F_n f\|_2 \to 0$$
がなりたつ.

(4) すべての$f, g\in L^2({\bold R})$について
$(F_n f, g)_{L^2} \to 0$がなりたつ.

\bye