\magnification=\magstep1
\documentstyle{amsppt}

\baselineskip 14pt
\nologo
\nopagenumbers
\define\R{\bold R}
\define\Z{\bold Z}
\define\e{\varepsilon}

\centerline{解析学VI 冬学期試験問題 (2/1/1992)}
\smallskip
\rightline{河東泰之}
\bigskip

問題は200点分あります.100点(以上)になるように問題を選択して
解いてください.

授業でのFourier変換${\Cal F}$,逆変換$\tilde{\Cal F}$の定義は,
$$
({\Cal F}f)(\xi)=\int_{\bold R}f(x)e^{-ix\xi}dx,\quad
(\tilde{\Cal F}f)(x)=\frac{1}{2\pi}\int_{\bold R}f(\xi)e^{ix\xi}d\xi
$$
です.これと異なる定義を用いる人は,自分の定義を明記してください.

\bigskip
[1] (15点)
実軸$\R$上の関数$\chi_{[-1,1]}(x)$ (閉区間$[-1,1]$の特性関数)は,どの
範囲の$s$に対し,Sobolev空間$H^s(\R)$の元となるか.(ただし,
$s>0$とする.)

\smallskip
[2] (20点)
次の積分の値を求めよ.
$$\int_{-\infty}^\infty \frac{\sin x\;dx}{x(e^x+e^{-x})}$$

\smallskip
[3] (20点)
Banach空間$\ell^1$から,
Banach空間$c_0$(0に収束する複素数列全体)
への線型写像$T$を,
$(Tx)_n=\sum_{m\ge n}x_m$, ($x=(x_n)\in\ell^1$)で定める.
$T^*: \ell^1\to\ell^\infty$を求めよ.

\smallskip
[4] (20点)
Hilbert空間$\ell^2$の元,$x=(x_n)$に対し,
$(Tx)_n=c_n x_{n+1}$とはたらく作用素$T$を考える.
ただし,ここで$(c_n)$は有界な複素数列である.
いつ,この$T$がcompact作用素になるか答えよ.

\smallskip
[5] (20点)
$C_0^\infty(\R)$の元$f(x)$を取る.
次の極限値を求めよ.
$$\lim_{\e\downarrow 0}\int_{-\infty}^\infty
\left(\dfrac{1}{x+i\e}-\dfrac{1}{x-i\e}\right)f(x)\;dx$$

\smallskip
[6] (20点)
可分(separable)な無限次元Hilbert空間$H$上のcompact operator全体のなす
Banach空間を${\Cal K}(H)$とする.この${\Cal K}(H)$は,
可分であることを示せ.

\smallskip
[7] (20点)
次の命題は正しいか?正しければ証明し,正しくなければ
反例をあげよ.

「任意の$L^1(\R)$の元$f(x)$に対し,$L^2(\R)$上の作用素
$T_f:g\mapsto f*g$, ($g\in L^2(\R)$)
はcompactである.」

\smallskip
[8] (20点)
反射的(reflexive)Banach空間$X$からBanach空間$Y$への有界線型作用素
$T$に対し,$T$が単射であることと,$T^*Y^*$が$X^*$で
稠密であることは同値であることを示せ.

\smallskip
[9] (15点)
反射的(reflexive)Banach空間$X$からBanach空間$Y$へのcompact operator
$T$に対し,
$\|Tx\|=\|T\|$となる$x\in X$で,$\|x\|=1$となるものが
存在することを示せ.

\smallskip
[10] (30点)
Banach空間$\ell^1$の点列$\{x_n\}_n$が$x\in\ell^1$に弱収束している
とする.このとき,実は$\{x_n\}_n$は,$x$に$\ell^1$-normで
収束していることを示せ.

\bye