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\nopagenumbers
\define\e{\varepsilon}
\define\R{\bold R}
\define\Q{\bold Q}
\define\Z{\bold Z}

\centerline{複素解析学I期末テストについて}
\rightline{河東泰之}
\bigskip

まず,答案に書いてある細い赤数字が期末試験の点数(最大200点),
太い赤数字が12月の
中間テストも考慮した総合的な点数(100点で頭打ち)で,太い赤の英字
(A,B,C,D)が最終成績(優,良,可,不可)です.

期末試験の平均点は,61.4点,得点分布は下のとおりでした.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--39 (点) && 40--59  && 60--79 && 80--99 && 100--119 && 120--149 &&
170-- & \cr
\vsp\t
& 24 (人) && 10  && 12 && 11 && 6 && 5 && 1 & \cr
\vsp\t
}}$$

また,12月の試験の点数を$x_1$,
今回の試験の点数を$x_2$としたとき,総合点$x$(太い赤数字)は,
$x=0.3\min(\max(x_1,x_2),100)+0.7\min(x_2,100)$と計算しました.この総合点の
平均点は,55.0点,得点分布は下のとおりでした.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--19 (点) && 20--39  && 40--59 && 60--79 && 80--99 && 100 & \cr
\vsp\t
& 16 (人) && 12  && 11 && 12 && 12 && 12 & \cr
\vsp\t
}}$$

この総合点$x$によって,次のように成績を
決めましたが,あと一歩でDからCになる人の場合は,
演習の実績で救済した例があります.

\roster
\item $80\le x$の場合:成績A(25人)
\item $65\le x< 80$の場合:成績B(8人)
\item $50\le x< 65$の場合:成績C(11人)
\item $x< 50$の場合:成績D(31人 --- 期末試験欠席者6人を含む ---)
\endroster

期末試験の採点そのものは,かなり甘くつけてあります.その結果,
点数はわりと高めになったので,点数と成績の対応は特に配慮を
加えず普通にしてあります.

採点ミス,成績のつけ間違いなどがあると思う人はできるだけ早く申し
出てください.

成績Dの人については追試を(多分7月に)行いますので,追試受験希望の
人は本郷理学部5号館1階の掲示に注意してください.

以下,問題についてコメントします.

\bigskip
[1] これは,授業でやった$\zeta(2)$と$\zeta(4)$の方法をそのまままねすれば
いいので,わりとよくできていました.だから授業の方法さえわかっていれば,
これは単なる計算問題です.計算はわりとめんどうですが,答えは
$\pi^6/945$です.計算ミスもたくさんありましたが,少ししか
減点していません.

\bigskip
[2] 授業でやった
$\pi\cot\pi z=\dfrac{1}{z}+\dsize\sum_{n\in\Z, n\neq0}(\dfrac{1}{z-n}-
\dfrac{1}{n})$と同様に証明するのですが,いきなり
$\sum_{n=-\infty}^\infty (-1)^n\frac{1}{z-n}$を考えるのは収束に
問題があります.Mittag-Lefflerの定理のようにやるのなら,まず
$\frac{1}{z}+\sum_{n\neq 0}(-1)^n(\frac{1}{z-n}+\frac{1}{n})$
と,広義一様絶対収束するようにしておいてから,
$\lim_{m\to\infty}\sum_{n=-m}^m
(-1)^n\frac{1}{z-n}$と変形する必要があります.
(わざわざ
$\sum_{n=-\infty}^\infty$ではなく
$\lim_{m\to\infty}\sum_{n=-m}^m$と書いてあることに注意.)

別の方法では,
$\frac{\pi}{\sin \pi z}=\frac{\pi}{2}\cot\frac{\pi z}{2}-
\frac{\pi}{2}\cot\frac{\pi (z-1)}{2}$と最初に変形しておけば,
$\pi\cot\pi z$の式に帰着できます.

\bigskip
[3] 一人指摘していた人がいたように,これは佐藤超函数(hyperfunction)
に関する問題です.ちゃんとできていた人は一人だけでした.

$\phi$は,実軸上だけで定義された連続関数なので,複素平面上の
正則関数のようにあつかうのは誤りです.

\bigskip
[4]
これは,単に$1-\frac{2}{\pi}\arg z$とすればおしまいです.
($\arg z$は,$z$の偏角で,今$0\le\arg z<2\pi$と取る.)
一番やさしい問題のつもりで出したのですが,手をつけている人は
少ししかいませんでした.$\frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}$というのが
いくつかありましたが,これは調和ではありません.

\bigskip
[5]
これは演習の問題の中にあったもので,
いろいろなやり方がありますが,一番うまいのは,
変換$z+\frac{1}{z}$を使うことです.

\bigskip
[6]
これは,40点としてありますが,Dirichlet級数のごく基礎的なことだけで
できてしまう問題で,(2)については,
Dirichlet級数とは何かさえ知らなくてもできます.

\bye