群構造論(大学院講義)
幾何学XF
要約:リーマン多様体と擬リーマン多様体における等長変換群からなる離散群の作用に関して、不連続性の差異の説明を多くの例を交えておこなった。 さらに、リー群の構造論(簡約群、半単純リー群、Cartan分解、リーマン対称空間、放物型部分群)を説明した後、等質空間への部分群の作用が固有であるかどうか(特に、作用が固有不連続であるかどうか)についての判定条件 (Properness Criterion)をT. Kobayashi, Math Ann 1989 および J. Lie Theory 1996の鍵となるアイディアを説明した。さらに、非リーマン等質空間への不連続群の作用が余コンパクトになるための判定条件を群のコホモロジーを用いて説明した。また、非リーマン等質空間における不連続群の剛性と変形理論(高次元タイヒミュラー空間)に関する話題を紹介した。参考文献
- 小林俊行「非リーマン等質空間の不連続群論」『数学の最先端 21世紀への挑戦 I』, 丸善出版, 2002, pages 18-73 (邦訳増補版)
- T. Kobayashi, Conjectures on reductive homogeneous spaces, Mathematics Going Forward: Lecture Notes in Mathematics 2313, pages 217-231. Springer, 2023
© Toshiyuki Kobayashi