カナダからのメッセージ

(海外から音声メッセージをお送りしたのですが、録音が聞き取りにくかったようですので、お話したことの抜粋を掲載します)

みなさん、おはようございます。

今日は残念ながら、文系のクラスで講義をすることが できません。

嬉しいニュースがあります。 中間試験の成績です。

このクラスは数学の講義としては、 東大では過去にない記録的な登録人数でした。 立ち見や階段に座ったりと、講義を受ける方も 大変だったと思います。 そういうハンディの中で、みなさんの 成績は素晴らしい出来栄えでした。

100点 56人
95〜99点 158人
で、95点以上の方が200人を超えています。

さらに

90〜94点が75人
いらっしゃいますので、 合計すると90点以上が過半数の300人くらいになります。

平均点は88点です。

このできばえをみて、私はとても嬉しく思いました。

大学での数学を学ぶ目的は、数理的な知識を増やしたり 計算能力を高めたりということだけではありません。

スポーツ選手が筋肉をトレーニングするのと同じように、

「抽象的な数学をじっくりと学ぶ力」
この学ぶ力そのものを、人生の財産として 強化するということが、 大学での数学の大きな目標だと私は考えています。

今学期、みなさんが、知らず知らずのうちに

「抽象的な数学を学ぶ力」
を身につけられたことで、 将来のどの時点においても、必要に応じて、数学を もう一度勉強することが、少しは楽になったのではないかと思っています。

最初の講義でお話したように、海外のライバルの大学 にくらべて、東大の文系の数学の授業時間数は少ないのですが、 その時間的制約の中でこのクラスの方は 素晴らしく実力を蓄えられてこられたと思います。

期末試験まであまり時間がありませんが、 表面的な知識ではなく、 しっかりと考える力をさらに鍛えるような勉強を 続けられることを願っています。

2010年7月7日
小林俊行

Home EnHome Jp

© Toshiyuki Kobayashi