「現代数学入門」,数理科学IV(文系),金曜1限,2007年冬
数学における真理は時間も空間も越えたものですが、
人類が到達した「知の体系」としての数学の理論は、
19-20世紀に飛躍的に発展しました。
そして、現在も次々と新しい理論が生まれているのです。
この講義では、高校までに学習する
(主として)18世紀までの数学とはちょっと違った
「現代数学」のキーワードや考え方の解説を通して、
数学という学問の紹介を試みようと思います。
担当:小林俊行
講義の感想
2007年10月12日(金)第1回目
- 暗号の歴史:時代のニーズと理論・技術の進歩
- 大きな大きな数を評価するための、いくつかのアイディア
- 曽呂利新左衛門とネイピアの数 e(複利計算と極限)
2007年10月19日(金)第2回目
- 素数について
- 剰余定理
- 合同式と合同類
- フェルマーの小定理
2007年10月26日(金)第3回目
- 合同類の和と積
- ユークリッドの互除法
- フェルマーの小定理の一般化
2007年11月2日(金)第4回目
- 鍵の輸送の問題と鍵の公開
(情報量の増加と鍵の必要個数の爆発的増加、
2000年以上の歴史を持つ暗号の常識を破る公開鍵暗号の考え方)
- 2でも3でも5でも割り切れない数の個数
- オイラーの関数
- 100桁の数はコンピュータで計算できるか? 合同方程式は解けるか?
2つの数に対してユークリッドの互除法を行うときの計算量の評価
2007年11月9日(金)第5回目
- フェルマーの小定理の一般化の証明
- 公開鍵と秘密鍵
- RSA 暗号の手順と原理
2007年11月16日(金)第6回目
- 暗号解読について
- RSA 暗号の強みと弱点(可能性)
- 素数が理論上無限個ある v.s. 実用上豊富にある
(世界中の人に十分に素数を配分できるか?)
- 素数の分布—素数定理
2007年11月30日(金)第7回目
- 複素数の幾何
- 複素平面
- 複素数の演算(和積)、極座標
2007年12月7日(金)第8回目
- 複素数の積と偏角
- 複素数における1の n 乗根と原始根
2007年12月14日(金)第9回目
- 方程式の解
- 方程式の定義されている世界(実数、複素数、行列とベクトル、mod p)
- 合同方程式
2007年12月21日(金)第10回目
- n 次合同式の解とフェルマーの小定理
- mod p における原始根
- 素数の原始根とオイラーの関数
2008年1月11日(金)第11回目
- 今日は金曜日、100000日後は何曜日?(フェルマーの小定理の復習)
- n 次合同式の解とその個数(実数体、複素数体、行列方程式との比較)
- 離散対数表
2008年1月18日(金)第12回目
- n 次合同式の解が存在するための必要十分条件
- 原始根を用いた応用例(Wilson の定理)
(試験範囲は1月18日(金)までとします。
1月25日(金)と1月29日(火)は、1月18日(金)までの講義内容を補う形で行います。)
2008年1月25日(金)第13回目
- 英語による講義
- mod p におけるべき乗計算
位数(order)の定義とその例
- 原始根の存在
2008年1月29日(火)第14回目
2008年2月1日(金)
成績は、レポートと定期試験で評価します。
© Toshiyuki Kobayashi