第25回高木レクチャー招待講演
2020年6月21日(日)
京都大学数理解析研究所大講義室420号室


講義1: AD$^+$双対性プログラム
講義2: 究極L予想
W. Hugh Woodin
(Harvard University)


Abstract

決定性公理の文脈での記述集合論の研究は50年以上前に始まった。この研究の文脈は現在では、決定性公理ADの改良版である公理AD$^+$であると理解される。この研究の対象は、ボレル集合族を拡張した実数の集合のクラスである。

このことは集合論のおそらく中心的な双対性プログラムに導く。それは公理AD$^+$が成り立つような実数の集合Aと、ゲーデルによって構成された集合の宇宙の内部モデルであるLの一般化の関係である。

このことは次にゲーデルの公理$V=L$の究極のバージョンの同定に導く。この鍵となる予想は究極L予想であり、これはもし正しければすべての無限に関する公理たちと両立する一つの公理を導き、またZFC公理系に追加されればカントールの連続体仮説のような、コーエンの強制法によって決定不能であることが示されたすべての問題を、無限に関する公理たちの仮定の下で解決する。

究極L予想は数論的なステートメントであり、数学的真理というものを合理的な範囲でどのようにとらえても、真か偽かのどちらかであるはずである。