Japan. J. Math. 16, 49--80 (2021)

代数幾何学にあらわれる無限次元(dg)リー環,因子化代数

M. カプラノフ

Abstract:
カッツ・ムーディーやヴィラソロなどの無限次元のリー環は,代数曲線に付随する様々なモジュライ空間を統制します.曲線から高次元の多様体に拡張しようとすると,導来幾何学の枠組みの中で考えることが必要になります.これは,古典論の中で高次元化で失われる多くの特徴が,導来的な(コホモロジー的な)枠組みの中では復活できるからです.この講義は3つの部分から成ります.
(1) 導来幾何学と,失われる特徴が復活するという現象のレビュー.
(2) $n$変数における,(一点に極をもつ)ローラン級数体の導来類似,対応する高次元のカレント代数と,その$G$-主束の導来モジュライ空間との関連(G. FaonteとB. Hennionとの共同研究に基づきます).
(3) ベクトル場の導来リー環と,その中心拡大,コホモロジー.コホモロジーの研究における因子化代数の役割(B. Hennionとの共同研究およびB. Hennion and A. Khoroshkinとの進行中の共同研究に基づきます).