Japan. J. Math. 14, 231--247 (2019)

混標数における特異点:パーフェクトイド空間による方法

Y. アンドレ

Abstract:
ホモロジカル予想は,Peskine,SzpiroとHochsterにより60年代後半に定式化された,可換環論におけるシジジと交点の問題に関する基本的な問題である.体上の場合にはかなり以前に解決され,正標数の特異点論の強力な道具であるタイト閉包の理論へ結びついた.

最近になって,p進Hodge理論から導入されたパーフェクトイドの方法により基礎体がない場合にも研究が進んだ.この方用により,直和因子予想が解決され,大きなCohen-Macaulay環の存在と弱関手性も確立されて,ホモロジカル予想が一般に解決されることになった.混標数の特異点研究の新しい道が開かれた.

以上の進展を概観し,末尾ではL. MaとK. Schwedeの進行中の研究についても触れる.これは,この方法により正標数と標数0の特異点の研究がどう結びつくかを示すものである.