Japan. J. Math. 14, 207--229 (2019)

極小曲面が豊富にあること

F.C. マーケス

Abstract:
この論説では,3次元以上の閉リーマン多様体の中の極小閉超曲面の存在について述べる.このような超曲面は面積汎関数の臨界点であり,従って,古典的な閉測地線の理論(バーコフ,モース,ルステルニック,シュニレルマンらによる)の高次元への一般化と見ることができる.この方面での最良の結果は,最近までは1965年のアルムグレンの仕事 [2],1981年のピッツの仕事 [37],1981年のシェーンとサイモンの仕事 [43] で,それは,任意の閉リーマン多様体の中に少なくとも1つは極小閉超曲面が存在するというものであった.

著者がここ数年間にアンドレ ネベス氏と共同で開発した方法について論じ,変分法の視点からこの問題に迫る.この考え方により極小超曲面が実は豊富にあるという発見に至った.