橘完太(名古屋大学大学院工学研究科),森本 孝之(一橋大学大学院経済学研究科)
 
ランダム行列による高頻度金融データの解析
 
近年,日内の高頻度収益率の二乗和および2変量間の交差積の和としてそれぞれ計算される実現ボラティリティ(Realized Volatility, RV)および実現共ボラティリティ(Realized Co-volatility, RC)を用い,金融資産の市場リスクを推定・予測できるようになった.しかし,これらRV,RCには,データが高頻度であることに起因するいくつかの問題点が知られている.問題点のひとつとして,高頻度になるほど、リスクの推定値であるRVおよびRCに大きなバイアス(マーケット・マイクロ・ストラクチャ・ノイズ)が加わる現象がある.そこで本研究では,RVおよびRCに含まれるノイズを,ランダム行列を用いて取り除く.