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科学研究費補助金 基盤研究(S) 21224001                          
「複雑現象に挑む形態変動解析学の構築」
(2009年度~2014年9月)
背景・目的等 
組織
関連研究集会
論文リスト
講演リスト

 

 

「形態変動解析学
国際センター」

 

 

 

 

 

 

【研究の背景・目的】
 
   形状や構造の変動を正確に捉え解析することは、数学分野だけではなく、科学技術全般の複雑な現象を理解し、解明するために重要です。複雑な結晶がどのように形成されてきたのか、といった自然科学的な問題から複雑な画像からどのようにノイズを除いたらよいかといった工学的な問題まで、形態変動に関する問題は様々です。

 本研究では図形やパターンの変動を記述する重要な非線形偏微分方程式に対し、必ずしも微分可能とは限らない解の複雑な挙動や性質を解明すると共に、様々な数学モデルとの関係を明らかにするために、粘性解析、変分解析、漸近解析、実解析、確率解析を深化させていきます。これにより、形態変動を組織的に数学解析する「形態変動解析学」の構築を目指します。また、結晶成長分野、画像処理分野など関連分野への応用を目指すだけではなく、複雑な現象を図形の変動と解釈することにより、従来つながりの無かったとされる新たな分野への応用の可能性を探索していきたいと考えております。
【研究の方法】
   
 

個人研究、海外共同研究者や研究協力者との共同研究を主体とします。数学的手法の現状を理解していくために、関連した分野でテーマを絞って国際ワークショップを開催いたします。また、諸科学に潜む問題を発掘するための学際的国際会議を開催いたします。さらにより広い範囲の研究者の関心を高め、研究に協力していただくために、チュートリアルセミナーを開催いたします。

   
【期待される成果と意義】  
   
  数学的側面:これまで、解析学の様々な分野で、図形の変動はばらばらに考察されてきました。本研究では、手法を限定せず、形態変動解析という統一的視点で様々な問題に取り組んでいきます。その結果、非線形偏微分方程式論に寄与するだけではなく、粘性解析、変分解析、漸近解析、実解析、確率解析に新たな展開を与えることになると予想されます。

応用面:形態変動の問題は、渦巻のような特異な構造が現れる結晶成長学や流体力学のような物理分野だけではなく、画像処理のような工学分野、また生命科学分野、さらには微分ゲーム等を通じて社会科学にも関連し、まさに科学技術全般に横たわる問題です。この様な状況で、その解析のための基礎となる数学理論が整備されることは、今後の諸学問の連携融合にとって鍵となる事が予想されます。
   
 【関連の深い論文・著書】 
   
  ・Y. Giga, Surface Evolution Equations—A Level Set Approach, Birkhauser (2006) 273pp
・儀我美一-儀我美保,非線形偏微分方程式―解の漸近挙動と自己相似解,共立出版(1999) 300頁
   
   「独立行政法人日本学術振興会:我が国における学術研究課題の最前線,平成21年9月」への公表資料をもとに編集したものです
Last updated: Jun 9, 2015
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