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数学II
(2006年4月〜2007年1月) Last modified: 2007/1/18


担当 平地 健吾 (研究室は数理科学研究科521)
Text book このページでは1年生理 II, IIIの線形代数の講義情報をのせます。

参考書は「線形代数学」川久保勝夫著、日本評論社 1999

場所:524教室
時間:9:00〜10:30

1月25日の講義の予定

・Sylvesterの慣性法則の証明
・正定値、半正定値の定義と判定方法
・二次曲線の合同変換による分類(円、楕円、2直線)

1月18日の講義

・対称行列の直交行列による対角化の計算例
・二次形式の標準形と符号数
・符号数の計算例

1月11日の講義

・Hermite内積に関する随伴の存在
・Hermite行列の固有値は実数であり,固有空間は互いに直交する
・Hermite行列のユニタリ行列による対角化
・レポート問題の pdfファイル。 2月8日締切。

12月21日の講義

・内積空間は次元が一致すれば計量同型である
・線形写像の随伴の定義(存在と一意性);表現行列では随伴は転置行列に対応する
・直交変換 ⇔ 随伴が逆写像
・直交行列 ⇔ 列ベクトルへの分割が正規直交基底
・Hermite 内積の定義といくつかの注意
・Hermite 内積の実部は実内積を与える

12月14日は休講です

Pacific Rim Geometry Conference に行ってきます。

12月7日の講義

・べクトル空間の直和の定義。例:正方行列が対角化可能であればベクトル空間は固有空間の直和である
・べクトル空間 Vが二つの部分空間W1, W2の直和である 必要十分条件はV=W1+W2かつW1∩W2={0}
・直交補空間の定義と例;二次元空間だと直線の法線が直交補空間、3次元空間だと平面の法線が直交補空間
・有限次元内積空間は部分空間とその直交補空間の直和であることの証明
・内積を保つ線形写像は等長線形写像でありその逆も正しい
・等長写像は単射であることの証明
・等長線形変換を直交変換という(定義しただけ)

11月30日の講義

・内積空間の定義 (実数上のべクトル空間の場合)と例:ユークリッド空間、L^2空間
・内積の基本性質:中線定理、ピタゴラスの定理、シュワルツの不等式、三角不等式
・正規直交系:直交系の一次独立性、シュミットの正規直交化

11月16日の講義

・複素行列の三角化の証明
・多項式への正方行列の代入;行列の積と多項式の積の対応
・ハミルトン・ケーリーの定理の証明(複素行列の場合)
・ハミルトン・ケーリーの応用:行列のベキの計算、逆行列の多項式としての表示

11月9日の講義

・行列が対角化可能である必要十分条件は「固有空間の次元が固有方程式の解の重複度と一致する」
・2次正方行列のジョルダン標準形
・3次正方行列の対角化の計算例

11月2日の講義

・行列が対角化可能である必要十分条件は「固有ベクトルからなる基底が存在する」
・2次正方行列が対角化可能なのは「スカラー行列であるとき」または「固有方程式が相異なる根を持つとき」
・異なる固有値の固有べクトルは一次独立である
・固有空間の次元は固有多項式の解の重複度以下であることの証明

10月26日の講義

・固有値,固有ベクトル,固有空間の定義と例(回転行列は実固有値を持たないが複素固有値を持つ)
・固有値と固有べクトルがわかれば行列が対角化できることを2次行列の例で説明(一般論はあとで)
・固有方程式を用いた固有値の計算方法(2次元での計算例、上半三角の場合の計算)

10月19日の講義

・定理:転置によりランクは不変である
・基本変形による逆行列の計算方法
・基本変形による連立一次方程式の解法:解空間の次元と解の存在の判定

10月12日の講義

・掃き出し法による連立一次方程式の解法
・掃き出し法は拡大係数行列でみれば基本変形である
・行列の(行または列)基本変形の定義
・定理:任意の行列は行基本変形の繰り返しで階段行列に変形できる(証明は略)
・定理:基本変形で行列のランクは不変である
・階段行列のランクの計算

講義メモ

・線形写像の行列表示は多分とばしたので行列の対角化のときに説明 (定理:定義域と値域の基底をうまくとれば表示行列は単位行列に0の列と行と 付け加えたものになる)---- と思っていたが10月19日に証明した。

期末試験について

・出題範囲は余因子行列、逆行列から7月10日の講義内容まで
・一次独立性の証明には行列式の計算は必要なので範囲外でも復習しておくこと

7月10日の講義

・線形写像のランクと行列のランク(列べクトルに関する次元)
・合成写像のランクの評価
・ランクと核の次元の和は定義域の次元に等しい
・核が零べクトルのみであることと単射性は同値
・次元が等しいヘクトル空間の間の線形写像に対して単射性と全射性は同値
・ベクトル空間の間に同型写像が存在するための必要十分条件は次元が一致すること
・行列のランクの計算例

7月6日の講義

・基底の定義と例: 数ベクトル空間の標準基底, 多項式の空間の単項式
・有限生成ベクトル空間は基底をもつ
・次元と定義と次元が一通りに決まることの証明
・部分空間 U ⊂ V にたいし dim U ≦ dim V かつ等式は U = V のときのみ
・n 次元ベクトル空間の n 個の一次独立なべクトルの集合は基底になる
・基底の変換行列は正則(逆も正しい)
・一次独立なべクトルのリストにべクトルを付け加えて基底を作ることができる

6月29日の講義

・数べクトルの一次独立性と一次方程式を解いて判定する
・零べクトルを含むべクトルのリストは一次従属;二つのべクトルが一致すれば一次従属
・定理: v1, . . . , vn が一次従属
     ⇔ ある i にたいして viは v1, . . . , vi-1, vi+1, . . . , vnの一次結合
     ⇔ ある i にたいして v1, . . . , viは一次従属
・定理: 正方行列 A = (v1, . . . , vn) にたいして v1, . . . , vnが一次独立 ⇔ |A| = 0
・定理: s > r であれば v1, . . . , vs ∈ S[w1, . . . , wr ] は一次従属

6月22日の講義

・ベクトル空間の間の線形写像
・線形写像の像と核は部分空間であることの証明
・線形写像の像と核の計算例: 微分作用素 d/dx, d/dx-1, 行列で与えられる写像の場合
・一次独立と一次従属の定義

6月15日は中間試験

・本、ノート類は持ち込み不可;出題範囲は6月1日の講義内容まで

6月8日の講義

・逆行列を使った連立一次方程式の解法
・クラーメルの公式
・抽象的なべクトル空間の定義と例(多項式、数べクトル、行列、微分可能な関数の空間)
・部分空間の定義と例(いくつかのべクトルで張られる部分空間)

6月1日の講義

・余因子展開の証明
・余因子行列と逆行列の関係
・行列の積と行列式の関係
・正則性と行列式が0でないことの同値性
・Vandermondの行列式

5月25日の講義

・行列式の列に関する線形性、列の入れ替えによる符号の変化(証明も与える)
・(列)基本変形を用いた行列式の計算
・転置行列の行列式(上記の結果は行について成り立つ)
・余因子展開の使い方(証明は次週)

5月18日の講義

・置換の巡回置換への分解のアイディア(厳密な証明はプリントを配布)
・巡回置換の互換への分解
・符号の定義が互換への分解によらないことの証明(対称群の差積への作用を用いた)
・行列式の定義と3次以下の行列の場合の計算方法
・下半ブロックが0になる行列の行列式;とくに上半三角行列の行列式は対角成分の積

5月11日の講義

・線形写像の合成と表現行列の積の対応
・同型写像と正則行列の対応(逆写像の線形性の証明)
・線形写像の例:平面の回転の行列表示
・行列式の幾何的な意味の説明(面積、体積の拡大率)
・置換の定義と記号の説明
・置換は積に関して群をなすことの説明(逆元の作り方)
・定理:任意の置換は共通文字をもたない巡回置換の積として表される(証明は来週)
・定理:任意の置換は互換の積として表される(証明は来週)
・置換の符号の定義

4月27日の講義

・複素数の行列表示(和と積の対応を計算で確認)
・写像の一般論の復習(定義域、値域、像、合成、全射、単射、恒等写像、逆写像)
・線形写像の定義
・線形写像は零ベクトルを零ベクトルに写し、べクトルの一次結合を各べクトルの像の一次結合に写す
・線形写像の例:行列の積によって定義される写像;各成分が斉一次式で定義される写像
・定理:線形写像の合成も線形である
・数べクトル空間の標準基底
・定理:数べクトル空間の間の線形写像は行列のべクトルへの積として表示することができる。
・行列表示の例:行列のトレース

4月20日の講義

・対称行列と交代行列
・行列の積;連立一次方程式の行列のよる表示
・行列の和と積の性質(結合則、分配則、転置行列と積の関係)
・行列の積の可換性と行列の二項展開
・正則行列と逆行列の定義と基本性質

4月13日の講義

・数ベクトル空間と幾何的ベクトル空間の定義とその関係。
・行列の定義。零行列、単位行列、対角行列

講義日程(+の印は演習付き)
4月13、20+、27
5月11+、18、25+
6月1、8+、15、22+、29
7月6+、10(月曜日)
夏休み
10月12+、19、26+
11月2、9+、16、30+
12月7、(休講14)+、21
1月11+、18、25+
補講期間1月31日、2月1日