論文コメント
ほっておくと忘れてしまいますので思い出を残すためにもコメントを書いておきます。かなりラフに書いています。またかなり客観性に欠ける感想などが書かれています。不快に思われたりクレームなどありましたらメールでお知らせ願います。即行で対処いたします。
- "On weak Fano varieties with log canonical singularities" (2009)
・私の修士論文です。発端はとあるロシアの方の論文から始まりました。それを知ったのは指導教員でもある高木寛通先生のおかげです。なにはともあれ全ての始まりはここからです。その方は三次元の場合を研究していたので, 四次元を修士論文にしようと思ったのです。これが大体、修士二年の五月か六月くらい。しかし、そもそも三次元の場合の証明がわからなかったので、えっちらおっちら、証明を埋めようと曲面の分類などしておりました。その残骸?がnotesにあります"On non-rational log surfaces with nef and non-abundant anti-log canonical divisors"です。で結局、夏休みくらいは違うことを考えていたのですが(こちらも反例がありこれがnotesにあります"Example of a plt pair of log general type with infinitely many log minimal models"です)、ラジックさんの論文がarXivにあがったのがきっかけになって反例を構成することができました。それを考察して成立する場合の条件を提示して、それを証明しました。論文事体は大体2009年の11月くらいに完成したのですが、すぐに証明に間違いが発覚! なんとか埋まりましたが、そのとき藤野先生には大変お世話になりました。ちなみに初めのバージョンは五次元以上が可約なアバンダンス予想待ちになっていたのですが、後にその必要な場合の可約なアバンダンスも証明しました。(cf. Abundance theorem for numerically trivial log canonical divisors of semi-log canonical pairs). なんやかんや、アクセプトに1年以上かかりました。しかし修論で思い入れが強いのでアクセプトされたときとてもうれしかった! J. Reine Angew. Math.に掲載予定。
- (with Osamu Fujino)"On images of weak Fano manifolds" (2010)
・問題の発端は九州大の安武さんが日大特異点セミナーで、弱ファノ束についての講演をしていたときに、「非特異射に対して弱ファノの像は弱ファノか?」という問題を提示されたことでした。初めての共同研究だったので結構緊張しました。これは大体、修士から博士の間の春休みに行った研究です。2010年3月に完成しました。人生初のアクセプトをもらった論文なのでうれしい。Math. Z. さんに掲載されます。
- "Abundance theorem for numerically trivial log canonical divisors of semi-log canonical pairs" preprint (2010)
・元々修士論文で予想として使っていた問題です。正直初めはこんなのまだ証明できるわけがないと思っていたのですが、がんばって考えたらできました。既約の場合は修士から博士の間の春休み中には証明ができていて、可約をどうしてやろうかと、考えていたらいつのまにか博士一年になっていました。それで藤野先生の論文をながめているうちに問題点は"B-pluricanonical representation の有限性" だと気付きどうやって証明するのかなぁと考えていました。そこで酒井先生の論文や上野先生の本を眺めているうちに大体証明できることがわかってきたので議論をsubkltに焼き直したらできました。これで修士論文からの問題はスッキリ解決しました。2010年5月に完成しました。
- (with Osamu Fujino)"On canonical bundle formulae and subadjunctions" preprint (2010)
・藤野--権業の第2弾です。実を言うと始めは僕と藤野先生は違う方向に向かっていたんです。偶然証明できた主補題からぼろぼろ色々な人の質問が解決した。これは2010年の夏休みに行った研究です。2010年の9月に完成しました。
- "On the minimal model theory of numerical Kodaira dimension zero." preprint (2010)
・色々な方々の励ましもあり投稿することに決めました。バタバタと決断が変わってしまい、色々な方々にご迷惑をおかけしたかもしれません。前のバージョンの頭に"On the"をつけました。コメントをくださったみなさま、ありがとうございました。ちなみに紆余曲折につきましては、 "Minimal model theory of numerical Kodaira dimension zero"のコメントをどうぞ。
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