松本 眞 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
『 疑似乱数発生に用いられる数学:メルセンヌ・ツイスターを例に 』

内容:
疑似乱数生成法とは、あたかも乱数であるかのようにふるまう数列を、計算機内で高速に、再現性があるように生成する方法の総称です。確率的事象を含む現象の計算機シミュレーションには、疑似乱数は欠かせません。たとえば、核物理シミュレーション、株価に関する商品の評価、DNA塩基配列からのたんぱく質の立体構造推定など、広い範囲で疑似乱数は利用されています。講演者と西村拓士氏が97年に開発したメルセン・ツイスタ―生成法は、生成が高速なうえ周期が$2^19937-1$で623次元空間に均等分布することが証明されており、ISO規格にも取り入れられるなど広く利用が進んでいます。ここでは、メルセンヌ・ツイスターとその後の発展において、(初等的・古典的な)純粋数学(有限体、線形代数、多項式、べき級数環、格子など)がどのように使われたかを、非専門家向けに解説します。学部1年生を含め、他学部・他専攻の方の参加を期待して講演を準備します。