松島 斉 氏(東京大学大学院経済学研究科)

内容:
アブストラクト:「ゲーム理論」は、経済社会における人々の相互依存関係を数理的に分析するための道具箱です。相互依存関係は、「制度」すなわち「ゲームのルール」によって規定されます。ゲームのルールは、多くの場合、操作したり設計したりできます。ゲームのルールをいかに設計するかは、社会の厚生に大きな影響を与えます。取引市場のルール、オークションの手続き、規制政策、電力市場の自由化、マクロ経済政策、研修医制度、憲法の制定、はその実例です。
「どのように制度を設計するべきか」は、今日のゲーム理論と経済学における重要な研究領域です。理論と実験経済学を使って、様々な設計のアイデアが提示されています。もっとも、一筋縄では行かない障壁が数多くあります。例えば、設計された制度は、汎用性がないと意味がありません。また、設計された制度において、人々がどのように振舞うかは、とても繊細な問題です。
以上をふまえて、制度設計の基本問題のいくつかを、簡単な「寓話の例」を使って、経済学を知らなくてもわかるように、説明します(と思います)。