講演要旨 庄司 俊明 氏(名古屋大学多元数理研究科)

内容:
 有限体 F_q 上の一般線型群 GL_n(F_q) の既約表現の分類と既約指標の決定は Green によって1955年になされた。より一般の有限簡約群については、1976年に発表された Deligne-Lusztigの理論とそれに続く Lusztigの研究で、既約表現が分類された。既約指標の決定については、Lusztig による指標層の研究で、かなり良く分かって来たが、まだ完全な決定には至っていない。
 ところで、特殊線型群 SL_n(F_q) は、GL_n(F_q) と共に、最もポピュラーな群であるが、実は既約指標の決定は難しい。GL_n が有限簡約群の表現論の出発点にある群とすると、SL_n(F_q) はむしろ、到達点に近い所にあるといってもよい。 SL_n を扱うには、Lusztig の一般論が必要となるが、更に、それに加えて一般 Gelfand-Graev 表現や、 Shintani descent の理論も使われる。講演では、有限簡約群の既約指標の理論を概観し、SL_n の既約指標の決定について述べる。