数理科学研究科棟について
![]() 梅林より研究科棟をのぞむ |
数理科学研究科棟は1995年の第T期工事、1998年の第II期工事、2006年の図書部分増改築工事を終えて,現在約1万1千5百uの建物となりました.この建物のおかげで,教員および大学院生の定員に見合った研究室の整備が進み,数理科学研究科の発展の基礎が固められることとなりました.この建物の建築のために多大な御理解と御協力を頂いた方々に建物委員長として深く感謝致します。数理科学研究科棟が整備され始めて、数理科学研究科が、現在の地に一体となってすでに10年以上が経過しましたが、ここで数理科学研究科の発足以来,次のような研究科棟の建築を訴え続けてきたことを思い起こすことも将来のためと存じます.
T | 研究科の一人一人が落ち着いて研究できる建物であること. |
U | 十分な教育の場が確保されること. |
V | 十分な事務スペースが確保されること. |
W | メンバーのコミュニケーション,研究者の交流の場が確保されること. |
X | センターオブエクセレンスをめざすために,研究交流,国際貢献,留学生の3点 においても配慮されていること. |
Y | 大学および社会に開かれた研究科にふさわしい建物であること. |
Z | 数十年後でも研究,教育活動が行いやすいように構造面,機能面で配慮された建物であること. |
もう少し具体的に言うと,教員の研究室,通常の授業のための講義室,演習室,セミナー室,各大学院生の机と椅子を確保できる大学院生スペース等の充実とともに,次のようなことを訴えたのでした.
1 | 図書室を拡充. |
2 | 共同研究のスペース,とくにコモンルーム(談話室)の拡充. |
3 | センターオブエクセレンスを目指すための国際会議開催,ビジターおよび留学生の受け入れ,コンピューター設備についての施設の面での配慮. |
4 | 事務スペースの拡充. |
大講義室内部(約300名収容)
これらの要望は,数理科学研究科棟の設計の随所に取り入れていただき,この建物の中で,次のような是非見ていただきたい自慢のスペースとして実現されています.図書室の余裕のある新着図書スペース、図書雑誌の配架スペースおよび当面の図書の増加に対応できる集密書庫.建物の中心に位置する交流の場としてのコモンルーム,テラスおよび各フロアのラウンジ.国際研究集会が開催できる大講義室,ホワイエとその周りの空間.非常勤講師やビジターの研究室.計算情報ネットワークの進化にも対応できる建物を縦に貫くネットワーク用スペース.様々なビデオ・アーカイブスの作成のためのITスタジオ.会議室,研究科長室,事務室,主任室等の運営のためのスペース.さらに,各部屋にはいろいろと細かい配慮がされ,すぐれた研究教育環境をつくりあげています.
コモンルーム前のテラス
数理科学研究科は,さらに次の2つのプロジェクトの実現を目指しています.
1 | アクチュアリー・ファイナンス・統計コースの新設. |
2 | 数理科学情報の国際的発信拠点の設立. |
このようなプロジェクトの実現のためにはビジター室・客員研究室を充実し,また,学内,学外と広く連携した教育研究活動を支える双方向システムを導入することも必要になります.数理科学研究科棟を引き続き整備していくことにより,数理科学研究科のアクティビティをさらに高め,数理科学研究科が発展することを願っています.
(文責 坪井 俊)
図書室
概 要 : | 数理科学研究棟の西側1階・2階に位置し,数学の教育と研究のために,資料を収集しサービスに供しています.研究科以外の学内・学外からの利用にも,広く応じています. |
運営組織 : | 数名の委員からなる図書委員会が設置されています.また,その下に図書選定委員会が置かれ,図書室資料の選定を行っています. |
所蔵資料 : | 旧理学部数学・教養学部一研数学・教養学部基礎数学の所蔵資料を継承し,広く数理科学分野の資料を収集しています. 蔵書冊数は約130,000冊,雑誌タイトル数は約1,600誌です.年間受入冊数は約2,500冊,雑誌年間受入タイトル数は約600誌です.(2008年3月現在) |
開 室 日: | 祝祭日を除く,月曜日から金曜日,学期間中は,9:15〜19:45, 学期休業中は9:15〜17:00. |
資料の検索 : | 東京大学オンライン蔵書目録データベース(OPAC)をはじめ, 数理科学分野のデータベースであるMathSciNet,ZentralblattMATH等, 多くのデータベースの利用が可能です. |
計算情報環境
研究科棟各フロアに設置された X 端末
研究科の研究教育活動を支えるため、計算情報業務室が中心となって基幹計算機・ネットワークシステムを整備運用しています。基幹計算機システムは、研究科を構成するメンバーが電子メールやTeXなど研究教育に直接必要な活動を行うに十分な能力・容量を持ちます。研究科棟各フロアには、大画面液晶ディスプレイを持つX端末を配置してあり、研究科メンバーは自由に使うことができます。高速プリンター(モノクロ両面、カラー)も設置されています。
研究科棟の各居室・講義室・セミナー室には2口以上の情報コンセントが設置されていて、基幹ネットワークシステムに接続できます。この情報コンセントは高速スイッチによってギガビットイーサネットを複数本用いたバックボーンに接続されているので、大容量のファイル転送や高解像度ビデオ映像の送受信が全く支障なく行える容量を持っています。
研究科ホームページ、電子化ジャーナル、セミナーデータベースなど、重要な情報を管理するサーバシステムも、計算情報業務室が運用しています。
基幹情報システムでは情報セキュリティの保全に特に留意しています。ネットワークの出入口(キャンパスネットワークとの接続点)にはファイアウォールを設置して、特に外部との接続を必要とせず同時に不正行為に利用されやすい通信を遮断するとともに、異常なトラフィックを検出して不正アクセスやウイルスの対策を迅速に行える体制をとっています。また、パソコン用ウイルス対策ソフトの配布や危険情報の広報などにより利用者の支援を行っています。
これら基幹システムの能力を生かして、新しいスタイルの数理科学研究教育を支援するために、映像情報を自由に扱える環境を実現しています。
ノンリニアビデオ編集設備
IT スタジオの収録用設備
これらの設備を活用して、講義・セミナー・研究集会・公開講座の収録・配信、学内外の映像中継、"Video Guest Book"プロジェクトなどさまざまな活動を行っています。詳しくはホームページ https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/video/ をご覧ください。
(文責 一井 信吾)
〔2006年6月作成〕