数値解析セミナー

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開催情報 火曜日 16:30~18:00 数理科学研究科棟(駒場) 002号室
担当者 齊藤宣一、柏原崇人
セミナーURL https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/utnas-bulletin-board/

過去の記録

2024年03月13日(水)

16:30-17:30   オンライン開催
David Sommer 氏 (Weierstrass Institute for Applied Analysis and Stochastics)
Approximating Langevin Monte Carlo with ResNet-like neural network architectures (English)
[ 講演概要 ]
We analyse a method to sample from a given target distribution by constructing a neural network which maps samples from a simple reference distribution, e.g. the standard normal, to samples from the target distribution. For this, we propose using a neural network architecture inspired by the Langevin Monte Carlo (LMC) algorithm. Based on LMC perturbation results, approximation rates of the proposed architecture for smooth, log-concave target distributions measured in the Wasserstein-2 distance are shown. The analysis heavily relies on the notion of sub-Gaussianity of the intermediate measures of the perturbed LMC process. In particular, we derive bounds on the growth of the intermediate variance proxies under different assumptions on the perturbations. Moreover, we propose an architecture similar to deep residual neural networks (ResNets) and derive expressivity results for approximating the sample to target distribution map.
[ 参考URL ]
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2024年03月13日(水)

17:30-18:30   オンライン開催
Andreas Rathsfeld 氏 (Weierstrass Institute for Applied Analysis and Stochastics)
Analysis of the Scattering Matrix Algorithm (RCWA) for Diffraction by Periodic Surface Structures (English)
[ 講演概要 ]
The scattering matrix algorithm is a popular numerical method for the diffraction of optical waves by periodic surfaces. The computational domain is divided into horizontal slices and, by a clever recursion, an approximated operator, mapping incoming into outgoing waves, is obtained. Combining this with numerical schemes inside the slices, methods like RCWA and FMM have been designed.
The key for the analysis is the scattering problem with special radiation conditions for inhomogeneous cover materials. If the numerical scheme inside the slices is the FEM, then the scattering matrix algorithm is nothing else than a clever version of a domain decomposition method.
[ 参考URL ]
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2024年01月09日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
ハイブリッド開催です。参加の詳細は参考URLをご覧ください。
松原崇 氏 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
微分方程式の数値解法に学ぶ・使う・代わる深層学習 (Japanese)
[ 講演概要 ]
ニューラルネットワークは,今日の深層学習ブームにおいて画像処理や自然言語処理を高度化できる技術とみなされている.しかし歴史を振り返ると,力学系のモデル化や制御にも長年使われていたことが分かる.かつてのそれは単なる表層的な近似でしかなかったが,近年,他の応用と同様にいくつかのブレークスルーと再発見があった.1つ目は,ニューラルネットワークの挙動そのものがある種の力学系の模倣になっているという新しい視点である.これはニューラルネットワークの情報処理メカニズムの解析に繋がるとともに,微分方程式の数値解法に学んだ新しいネットワークアーキテクチャの設計を可能にする.2つ目は,ニューラルネットワークを微分方程式の解関数の基底として使う方法である.誤差逆伝播法のおかげで,データ同化やシステム同定が容易となった.最後に数値解法そのものに取って代わろうとする野心的な試みがある.本発表では,これらのアプローチを俯瞰的に紹介する.
[ 参考URL ]
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2023年11月14日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
古川賢 氏 (理化学研究所)
いくつかの力学系とそのデータ同化による予測について (Japanese)
[ 講演概要 ]
データ同化による力学系の予測について得られた2つの結果を紹介する.前半では,2次元3種のオートマトンのカオス的な離散力学系を導入し,その離散力学系の時間発展を粒子フィルターによるデータ同化によって予測する方法とその結果について紹介する.後半では,プリミティブ方程式のナッジングによるデータ同化にまつわる問題について紹介する.特に,データ自身の持つ情報量とデータ同化によって得られる近似解(予測)のもつ情報量の関係性を正則性の観点から特徴づける.
[ 参考URL ]
ハイブリッド開催です。参加の詳細は参考URLをご覧ください。

2023年10月24日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
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田中一成 氏 (早稲田大学国際理工学センター)
ニューラルネットワークによる微分方程式解の包含と優解劣解法の再考 (Japanese)
[ 講演概要 ]
講演の前半では、微分方程式の解をニューラルネットワークを用いて厳密に包含する手法を紹介する。
この手法は、特定のコスト関数で方程式の優解劣解を学習し、その結果として得られるニューラルネットワークで表現された関数の組が真の解を包み込むことを事後的に確認するものである。
手法の紹介は常微分方程式の初期値問題や境界値問題を例に展開するが、楕円型・放物型偏微分方程式に対しても適用可能であることを示す。
前半の内容は矢田部浩平氏(東京農工大学)との共同研究に基づくものである。
 講演の後半では楕円型境界値問題に対する優解劣解法そのものに焦点を当てる。
伝統的な優解劣解の定義では、暗に関数の滑らかさが要求されるため、優解劣解を区分線形関数を用いることができなかった。
この課題を克服するためには、優解劣解が満たすべき条件を緩めることが必要である。
そこで、変分不等式と限定されたテスト関数を使用して優解劣解を再定義し、単純な線形補間を用いて真解を包含する優解劣解が構築可能であることを示す。
これはReLUのような必ずしも滑らかでない活性化関数を用いる場合でも、前半で紹介した手法が有効であることを示唆する。
後半の内容は松江要氏(九州大学)ならびに落合啓之氏(九州大学)との共同研究に基づく。
[ 参考URL ]
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2023年10月17日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
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奥村真善美 氏 (甲南大学知能情報学部)
空間2次元における動的境界条件下のCahn-Hilliard方程式に対する構造保存スキームについて (Japanese)
[ 講演概要 ]
偏微分方程式の初期値境界値問題において, 動的境界条件を課した問題が幅広く研究されている. この境界条件は, 領域内部と境界の相互作用を表現するために導入された条件であり, 条件内に未知関数の時間微分を含む. それゆえ, 代表的な境界条件と異なり, 動境界条件は, 領域内部の力学系と同時に境界上でも同種, あるいは異種の力学系を考察することができ, その境界値問題は領域内部の方程式と境界上の方程式の連立系と見なすこともできる. 近年, 相分離現象を記述するCahn-Hilliard方程式に対し, 境界上でもCahn-Hilliard方程式を考察する動的境界条件を課したモデルがGoldstein-Miranville-Schimperna (GMS)やLiu-Wu (LW)によって提唱された. 両者は化学ポテンシャルの外向き単位法線方向微分の扱いが異なっており, GMSモデルでは領域内部と境界の質量和が保存するという保存則, LWモデルでは内部と境界それぞれで質量が保存するという保存則が成り立つ. さらにはいずれのモデルにおいても領域内部と境界のエネルギーの総和が減衰するという総エネルギー散逸則が成り立つことにも注意したい. これらの性質は数値計算においても重要な意味を持ち, その構造をスキームが離散的に再現することで, 安定な計算が可能になるなどの様々な恩恵がある. 本研究では, 先行研究を踏まえ, これらの性質を離散的に再現する構造保存スキームを構成した. 本講演では, それらの構造保存スキームを紹介するとともに, GMSモデル対する構造保存スキームに焦点を当て, その可解性について得られた結果を報告する. また, 両モデルの保存則の違いに起因する, 数値解の挙動の違いも興味深く, その数値計算例も紹介する.

本研究は深尾武史氏(龍谷大学)との共同研究に基づく.
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2023年06月27日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
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山田俊皓 氏 (一橋大学大学院経済学研究科)
ディープラーニングと確率論的方法を用いた高次元偏微分方程式の数値計算法について (Japanese)
[ 講演概要 ]
近年、ディープラーニングは高次元の偏微分方程式を「次元の呪い」の影響を受けずに数値的に解く技術としても著しく発展している。本講演では、ディープラーニングと確率論的な方法、特に確率微分方程式の数値解法を融合させた収束の速い高次元偏微分方程式の数値計算法について紹介する。講演では、偏微分方程式の数値計算においてディープラーニングが確率論的方法とどのように結び付くか解説し、様々な偏微分方程式に対する数値計算例をアルゴリズムとともに紹介する予定である。また、理論・応用面において現在のところどこまで分かっていてどのような課題があるかについて触れ、今後の展望について述べたい。
[ 参考URL ]
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2023年06月06日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
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畔上秀幸 氏 (名古屋産業科学研究所)
形状最適化問題の正則性と数値解の関連について (Japanese)
[ 講演概要 ]
偏微分方程式が定義された領域を設計対象にした最適化問題を形状最適化問題とよぶことにする.この問題に対する解の存在を保証するためには偏微分方程式の解に正則性が必要となる.一方,関数空間上の勾配法や Newton 法に従って有限要素法で数値解を求めると理論的な制限を超えて良好な解が得られるときと異常をきたす場合がある.いくつかの数値例を紹介し,理論の役割について皆さんと一緒に考えてみたい.
[ 参考URL ]
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2023年05月23日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
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今泉允聡 氏 (東京大学大学院総合文化研究科)
深層学習と過剰パラメータの理論 (Japanese)
[ 講演概要 ]
深層学習の統計・学習理論的な解析に関する研究トピックを紹介する。深層学習とは多層ニューラルネットワークをモデルとして用いた統計手法であり、このモデルは深層構造(モデルが多数の写像の合成で構成されること)や大自由度(モデルの学習できるパラメータが非常に多いこと)という特徴を持っている。データの不確実性が深層学習に与える影響を評価するには、これらの特徴を適切に扱うことが重要である。本講演では、(i)深層構造を持つモデルの優位性および劣位性とそれを改善する学習手法、(ii)深層モデルの不確実性を損失曲面の形状を用いて評価する理論、および(iii)大自由度モデルの漸近的な解析(過剰パラメータの理論)を深層構造に拡張する試みを紹介する。
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2023年05月16日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
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清水雄貴 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
基本解近似解法によるPlateau問題の数値解析 (Japanese)
[ 講演概要 ]
針金の形状を変えずとも,異なる形状の石鹸膜が張られることがある.それでは,針金の形状から,それが張る石鹸膜の形状には何種類あるか特定できないだろうか.
 Jordan閉曲線がどのような形状であれ,それを境界とする極小曲面は少なくとも一つは存在する.一方,境界の全曲率が4π以下であるなど,形状に関する十分条件が満たされる場合には,解の一意性が従う.解が複数ある場合には,安定な極小曲面やgenericには解は有限個であるが,そうでない場合には解の有限性自体が難問であり,具体的な個数が得られているのは,現状では特定の境界に関する場合のみに限られている.このように,境界形状と解の個数の関係性は極小曲面の幾何解析学において困難だが重要な問題の一つとして位置づけられている.
 こうした状況を鑑み,数値計算によりその関係性を見出すことが期待される.極小曲面を何らかの汎函数の最適化問題の停留点として数値的に求めることを想定すると,与えられたJordan閉曲線を境界にもつ,全ての極小曲面を計算するには,(1)最適化問題の初期値に応じて,異なる極小曲面に収束し,(2)無作為かつ多数の初期値に対する収束極限が得られるほど高速で,(3)それらを区別できるほど高精度な,数値解法が必要となる.
 本講演では,基本解近似解法を用いることで上記三点を達成する数値解法を提案し,その収束誤差解析を行う.また,いくつかの数値例を通じて,境界形状と個数の関係性について論じる.本研究は榊原航也氏(金沢大学)との共同研究に基づく.
参考文献:K. Sakakibara and Y. Shimizu, Numerical analysis for the Plateau problem by the method of fundamental solutions, preprint (arXiv:2212.06508)
[ 参考URL ]
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2023年04月25日(火)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
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大城泰平 氏 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
微分代数方程式に対する組合せ的前処理法 (Japanese)
[ 講演概要 ]
微分代数方程式(DAE)とは,常微分方程式と代数方程式の要素を併せ持つ方程式である.DAEの数値解析にあたっては,矛盾のない初期値を定めることが難しいという問題や,微分指数とよばれる特性量が高い場合に数値的な求解が難しくなるという問題など,特有の困難が生じる.多くのDAEソルバでは組合せ最適化技法に基づいた前処理法が実装されており,矛盾のない初期値設定や微分指数の低いDAEへの変形に利用することができる.しかしながら,組合せ的前処理法はシステムヤコビアンとよばれる行列が非正則なDAEに対しては失敗してしまう.本公演では,DAEに対する組合せ的前処理法を概観したのち,非正則なシステムヤコビアンをもつDAEを正則なDAEに変形する「組合せ緩和法」を紹介する.
[ 参考URL ]
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2021年07月06日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
速水謙 氏 (国立情報学研究所 (名誉教授))
最小二乗問題の反復解法とその応用 (Japanese)
[ 講演概要 ]
前半では、内部反復前処理を用いたクリロフ部分空間法とその線形計画問題の主双対内点法への応用を紹介する。従来困難とされていた内点法最終段階での悪条件・特異な最小二乗問題を頑健・高精度・高速に解くことにより、反復法の線形ソルバーで広範囲のLPベンチマーク問題に対してSDPT3, SeDuMi, PDCO(LSMR)などの標準的なpublic domain solverより高性能な結果を得た[1]。更に最小二乗問題の解法を高速化するために、内部反復前処理のNE-SOR法の代わりにKaczmarz型の反復解法を用い、外部反復のGMRES法の代わりにflexible GMRES法を用いた解法とその有効性を紹介する[2]。
 後半では、薬物動態モデルのパラメタ推定で生じる非線形最小二乗問題の複数の解を同時に求めるCluster Gauss-Newton(CGN)法を紹介する[3]。複数の初期解から出発し、目的関数の微分情報を用いずに(derivative-free)非線形最小二乗問題の複数の近似解を従来の解法よりも高速により多く求めることができ、薬学研究の現場で用いられている。

参考文献:
[1] Cui, Y., ·Morikuni, K., Tsuchiya, T., and Hayami, K., Implementation of interior-point methods for LP based on Krylov subspace iterative solvers with inner-iteration preconditioning, Computational Optimization and Applications, Vol. 74, No. 1, pp. 143-176, 2019. https://doi.org/10.1007/s10589-019-00103-y
[2] Du, Y., Hayami, K., Zheng, N., Morikuni, K., and Yin, J.-F., Kaczmarz-type inner-iteration preconditioned flexible GMRES methods for consistent linear systems, SIAM Journal on Scientific Computing, (to appear), 22pp., https://arxiv.org/abs/2006.10818 
[3] Aoki, Y., Hayami, K., Toshimoto, K., and Sugiyama, Y., Cluster Gauss-Newton method - An algorithm for finding multiple approximate minimisers of nonlinear least squares problems with applications to parameter estimation of pharmacokinetic models, Optimization and Engineering, (2020), 31pp. https://doi.org/10.1007/s11081-020-09571-2
[ 参考URL ]
https://forms.gle/B5Hwxa7o8F36hZKr7

2021年06月22日(火)

17:00-18:30   オンライン開催
鈴木大慈 氏 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
深層ニューラルネットワークの近似理論と適応能力 (Japanese)
[ 講演概要 ]
ReLU活性化関数を用いた深層ニューラルネットワークの学習能力について,特にスパース推定との関係を通して理論解析結果を述べる.深層学習の学習能力の高さは,その基底を対象の関数に合わせて生成するところにあり,それはモデルが非凸であることが本質的に重要である.これはスパース推定による基底選択と共通点が多く,縮小ランク回帰やL0-正則化学習といった,モデルが非凸であるスパース推定と結び付けてその優位性を調べることが可能である.本研究では,そのような視点に基づき,深層学習のBesov空間における近似精度および推定精度を解析する.また,非等方的平滑性や変動平滑性を持つBesov空間といった種々のBesov空間の変種における近似理論およびそれを用いた推定理論を紹介し,深層学習がいかに対象の関数の情報を用いてその他の推定量を優越しうるかを説明する.時間があれば,無限次元勾配ランジュバン動力学を用いた勾配法の離散時間近似および収束理論も紹介し,それを用いた推定量の推定精度解析と深層学習の特徴量学習による優位性についても述べる.
[ 参考URL ]
https://forms.gle/HwetNGXCzbCyMC7B7

2021年06月08日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
曽我幸平 氏 (慶應義塾大学理工学部)
Action minimizing random walks and numerical analysis of Hamilton-Jacobi equations (Japanese)
[ 講演概要 ]
1階のHamilton-Jacobi方程式は様々な文脈で現れる完全非線形PDEであり,粘性解と呼ばれる弱解クラスで盛んに研究されている.例えば,解析力学の一部として1997年に登場した弱KAM理論においては,1階のHamilton-Jacobi方程式の粘性解だけでなくその1階微分と特性曲線の情報が本質的に活用される.1階のHamilton-Jacobi方程式の解を具体的に構成する手法(粘性消去法/割引消去法/離散近似法など)はよく知られているが,粘性解・1階微分・特性曲線の全てを同時に構成することは非自明である.本講演では,一般の空間次元で時間依存するTonelli型のHamiltonianが生成するHamilton-Jacobi方程式に対して,最も初等的な差分法によって,粘性解・1階微分・特性曲線の全てを同時に構成する手法を紹介する.収束証明のポイントは,離散近似問題を非一様ランダムウォークの最適制御問題に書き直し,変分法と確率論の議論を援用することである.時間が許せば,弱KAM理論への応用についても触れる.
[ 参考URL ]
https://forms.gle/kjhqne4nV6fqEFWB8

2021年05月11日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
土屋卓也 氏 (愛媛大学理工学研究科)
異方的なメッシュ上での有限要素誤差解析について (Japanese)
[ 講演概要 ]
有限要素誤差解析においては、使われるメッシュに形状正則性の仮定を通常課す。しかし、形状正則でないメッシュ上でも誤差評価が得られる場合があることが以前より知られていた。この講演では、形状正則性を満たさない単体(三角形、または四面体)要素からなるメッシュ上で、どのような誤差解析が行われるかを概観する。特に、最近得られた不連続Galerkin法の誤差評価、および四面体上のLagrange補間誤差評価について説明する。
[ 参考URL ]
https://forms.gle/CoaM4vSE1GvDRuDR6

2021年04月27日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
高安亮紀 氏 (筑波大学システム情報系)
非線形熱方程式の複素時間領域における解の精度保証付き数値計算
(Japanese)
[ 講演概要 ]
本講演では、複素時間領域における非線形熱方程式の初期値境界値問題の解を厳密に包含する数値計算手法を紹介する。フーリエ・チェビシェフ級数を用いて得られた数値解における線形化問題の解作用素(発展作用素)を用いて簡易ニュートン写像を定義し、その不動点の局所一意存在を数値検証することで、初期値境界値問題の解の厳密な包含を得る。さらに解の時間局所存在を繰り返し検証し、長い時間区間における解の厳密な求積を行う。そして、我々の厳密な求積法の応用として、非線形熱方程式の分岐特異点の存在および解の時間大域存在を計算機援用証明した結果についても詳述する。
本講演はJean-Philippe Lessard (McGill Univ.)、Jonathan Jaquette (Boston Univ.)、岡本久(学習院大学)各氏との共同研究に基づく。
[ 参考URL ]
https://forms.gle/qW5ktphBB6dsh8Np7

2021年01月12日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
谷口隆晴 氏 (神戸大学 大学院 システム情報学研究科)
DGNet: エネルギー保存・散逸則を保つ深層物理モデリングとそれに関する理論・応用 (Japanese)
[ 講演概要 ]
近年,深層学習を利用して時間発展データから,そのダイナミクスを記述する微分方程式を学習する技術に注目が集まっている.特に,モデル化対象の現象がハミルトン力学で記述できると考えられる場合には,Greydanus らによって,その構造をモデルに組み込んだハミルトニアンニューラルネットワークと呼ばれる方法が提案されている.
本研究では,ハミルトニアンニューラルネットワークをエネルギー保存・散逸型数値解法の導出法である離散勾配法と連携させることにより,エネルギー保存・散逸則を保つニューラルネットワークモデルを提案する.また,それに関する理論や応用についても述べる.本研究は,松原崇,石川歩惟,小松瑞果,寺川峻平らとの共同研究を含む.
[ 参考URL ]
https://forms.gle/DpuhGupZ7NYbot5d7

2020年12月15日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
Ming-Cheng Shiue 氏 (National Chiao Tung University)
Iterated pressure-correction projection methods for the 2d Navier-Stokes equations based on the scalar auxiliary variable approach (English)
[ 講演概要 ]
In this talk, the first-order iterated pressure-correction projection methods based on the scalar auxiliary variable approach is proposed and studied for the 2d Navier-Stokes equations and Boussinesq equations.
In the literature, enormous amounts of work have contributed to the study of numerical schemes for computing the Navier-Stokes equations. In general, two of the main numerical difficulties for solving Navier-Stokes equations are the incompressible condition and the nonlinear term. One of the approaches to deal with the incompressible condition is the so-called projection. The typical projection method only needs to solve the Poisson type of equations depending on the nonlinear term's treatment, which is efficient. However, the pressure-correction projection methods suffer from the splitting error, leading to spurious numerical boundary layers and the limitation of accuracy in time. In the literature, an iterated pressure-correction projection method has been proposed to overcome the difficulty.
As for the nonlinear term treatment, it is better to treat the nonlinear term explicitly so that one only requires to solve the corresponding linear system with constant coefficients at each time step. However, such treatment often results in a restricted time step due to the stable issue. Recently, the scalar auxiliary variable approach has been constructed to have an unconditional energy stable numerical scheme.
In this work, a new iterated pressure-correction projection method based on the scalar auxiliary variable's simple choice is proposed. We find that this new scheme can enjoy two properties, including reducing the splitting errors and having unconditional energy stability. The proofs of the energy stability and error convergence are provided and analyzed. Finally, numerical examples are provided to illustrate the theoretical work. This is joint work with Tony Chang.
[ 参考URL ]
https://forms.gle/y7w2nmaYtHNeoDSn8

2020年12月01日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
佐藤寛之 氏 (京都大学 大学院情報学研究科)
多様体上の最適化問題と共役勾配法について (Japanese)
[ 講演概要 ]
制約付き最適化問題に対するアプローチの一つとして多様体上の最適化が近年注目を集めている.本講演では,多様体上の最適化問題として定式化される応用問題を通して研究の動機を述べた後,有用な一次法である多様体上の共役勾配法の理論と最近の展開について議論する.共役勾配法は,元来は線形方程式を解くために二次関数の最小化問題に対する解法として提案されたが,後に,より一般の目的関数をもつユークリッド空間内の最適化問題に対する解法に拡張された.この方法は特に非線形共役勾配法と呼ばれるが,さらに探索領域を多様体に拡張する際にはいくつかの工夫が必要となる.こうした工夫についてはこれまでにいくつかの異なるアプローチが提案されているが,それらを統一することで,多様体上の非線形共役勾配法の一般的な枠組みについて議論する.
[ 参考URL ]
https://forms.gle/Ubeccm8neLkacjbk8

2020年10月27日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
Buyang Li 氏 (The Hong Kong Polytechnic University)
Convergent evolving finite element algorithms for mean curvature flow and Willmore flow of closed surfaces (English)
[ 講演概要 ]
We construct evolving surface finite element methods for the mean curvature and Willmore flow through equivalently reformulating the original equations into coupled systems governing the evolution of surface position, velocity, normal vector and mean curvature. Then we prove $H^1$-norm convergence of the proposed evolving surface finite element methods for the reformulated systems, by combining stability estimates and consistency estimates. The stability analysis is based on the matrix–vector formulation of the finite element method and does not use geometric arguments. The geometry enters only into the consistency estimates. Numerical experiments illustrate and complement the theoretical results.
References :
[1] https://doi.org/10.1007/s00211-019-01074-2
[2] https://arxiv.org/abs/2007.15257
[ 参考URL ]
https://forms.gle/HeuUxWLGa696KPvz8

2020年07月21日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
剱持智哉 氏 (名古屋大学大学院工学研究科)
平面曲線の制約条件付き勾配流に対する構造保存数値解法
(Japanese)
[ 講演概要 ]
本講演では, 制約条件付きの勾配流方程式に従って運動する, 平面内の閉曲線に対する数値計算手法を取り扱う. ここでの制約条件とは, ある幾何学的な量を保存するという条件であり, 例えば, 面積保存条件付きの勾配流 (周長減少) などが対象の方程式として挙げられる. 制約条件付き勾配流は, 勾配流によるエネルギー散逸性と, 制約条件よるエネルギー保存性を同時に持つが, 本講演では, これらを同時に再現する構造保存数値計算法を構築する. さらに, 接線速度の導入による安定化についても考察する. 最後に, 赤血球の形状変化のモデル方程式として現れるHelfrich流 (面積・周長保存条件下での, 曲げエネルギーに対する勾配流)などに対する数値計算例も紹介する.
[ 参考URL ]
https://forms.gle/3JiNEjWnrWLW8cFA9

2020年06月30日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
榊原航也 氏 (岡山理科大学理学部)
界面現象の構造保存型数値解析 (Japanese)
[ 講演概要 ]
水と油の間のように,界面は至る所に現れ,その数理解析は界面問題として盛んに研究されている.
本講演では,界面問題のうち,(i)「結晶粒界」という具体的な問題と,(ii)「移動境界問題」という一般的な枠組みのそれぞれにおいて,ある種の構造保存型数値解法を構築し解析した結果について報告する.以下,それぞれの問題について,簡単にその問題意識と得られた結果についてまとめる.

(i)結晶粒界の研究の大元の目的は,「結晶構造が与えられたとき,そこから結晶粒界の位置を捉える数学的な枠組みを構築できるか」というものである. そのためには数理モデルが必要となるが,本研究では,Kobayashi–Warren–Carter(KWC)エネルギーを自由エネルギーとして採用し,その勾配流として結晶粒界を検出することを考える. KWC エネルギーには,多様体 SO(3) に値をとる(重み付き)全変動エネルギーが現れ,この部分で強い特異性が生じるために数値計算が難しくなってしまう. 本講演の前半部分では,一般に滑らかな多様体に値が束縛された全変動流の数値解析の結果について報告し,その後に,現在行っている KWC エネルギーの数値解析の現状を簡単に報告したい.

(ii)平面閉曲線に対する移動境界問題とは,ある規則(法線速度)により時々刻々と変形する閉曲線を求める問題であり,曲率流,表面拡散流,Hele-Shaw 流など,様々な重要な問題が知られている. 多くの移動境界問題は,(何かしらの)エネルギーの(何かしらの)空間上での勾配流として定式化される(すなわち,解の時間発展に従ってエネルギーが単調減少する). よって,その勾配流の構造を活かした数値解法として構造保存型数値解法を使いたくなるのは自然な発想であると思われるが,移動境界問題のように問題領域が複雑に時間変化する場合における構造保存型数値解法の研究成果はほとんど知られていない. そこで,本講演の後半部分では,多角形曲線により界面が記述される場合の移動境界問題を扱い,エネルギー散逸構造を満たす時間離散化の方法について紹介したい. 最後には,多角形曲線ではなく滑らかな曲線により界面を記述した場合の最新の結果についてもごく簡単にご紹介する予定である.

 (i)は上坂正晃氏(東京大学),岡本潤氏(東京大学),儀我美一氏(東京大学),田口和稔氏との共同研究,(ii)は剱持智哉氏(名古屋大学),宮武勇登氏(大阪大学)との共同研究に基づく内容であり,それぞれに関連する文献として,プレプリント [1, 2] を挙げておく.
[1] Y. Giga, K. Sakakibara, K. Taguchi and M. Uesaka, A new numerical scheme for discrete constrained total variation flows and its convergence, accepted by Numerische Mathematik (arXiv:1904.06105)
[2] K. Sakakibara and Y. Miyatake, A fully discrete curve-shortening polygonal evolution law for moving boundary problems, preprint (arXiv:1912.00545)
[ 参考URL ]
https://forms.gle/ztK741vNdBT7hfGSA

2020年06月23日(火)

16:30-18:00   オンライン開催
佐藤峻 氏 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
2次の保存量をもつ常微分方程式に対する線形かつ高精度な構造保存数値解法 (Japanese)
[ 講演概要 ]
様々な現象のモデルとして現れる常微分方程式や発展偏微分方程式はしばしば保存量をもつ. このような系に対して,保存量を尊重した構造保存数値解法は安定性などにおいて優れることが知られており, 高精度なスキームの構成法も含めて整備されているが,一般に陰的非線形になってしまうという問題も抱えている. そこで,本研究では,保存量が2次関数で表される場合に限れば,陰的線形かつ高精度な構造保存数値解法が構成できることを示した. 2次関数で表される保存量 (2次の保存量) は,KdV方程式を含む各種の微分方程式で自然に現れるだけでなく, 近年盛んに研究されているSAV (Salar Auxiliary Variable) 法のような元の問題の変形を伴う手法においても現れるため, 提案手法は幅広い方程式に適用可能である. 講演では提案手法の構成法と精度を示す定理を紹介し,数値実験結果も報告する.
この研究は宮武勇登氏 (大阪大学) とJohn C. Butcher氏 (The University of Auckland) との共同研究である.
[ 参考URL ]
https://forms.gle/hvvvFLAhH1314UQK8

2020年01月20日(月)

16:50-18:20   数理科学研究科棟(駒場) 056号室
Yves A. B. C. Barbosa 氏 (Politecnico di Milano)
Isogeometric Hierarchical Model Reduction: from analysis to patient-specific simulations (English)
[ 講演概要 ]
In the field of hemodynamics, numerical models have evolved to account for the demands in speed and accuracy of modern diagnostic medicine. In this context, we studied in detail Hierarchical Model Reduction technique combined with Isogeometric Analysis (HigaMOD), a technique recently developed in [Perotto, Reali, Rusconi and Veneziani (2017)]. HigaMod is a reduction procedure used to downscale models when the phenomenon at hand presents a preferential direction of flow, e.g., when modelling the blood flow in arteries or the water flow in a channel network. The method showed a significant improvement in reducing the computational power and simulation time, while giving enough information to analyze the problem at hand.

Recently, we focused our work in solving the ADR problem and the Stokes problem in a patient-specific framework. Specifically, we evaluate the computational efficiency of HigaMod in simulating the blood flow in coronary arteries and cerebral arteries. The main goal is to assess the
mprovement that 1D enriched models can provide, with respect to traditional full models, when dealing with demanding 3D CFD simulations. The results obtained, even though preliminary, are promising [Brandes, Barbosa and Perotto (2019); Brandes, Barbosa, Perotto and Suito (2020)].

2019年12月16日(月)

16:50-18:20   数理科学研究科棟(駒場) 117号室
上田祐暉 氏 (The Hong Kong Polytechnic University)
A second-order stabilization method for linearizing and decoupling nonlinear parabolic systems (Japanese)
[ 講演概要 ]
We present a new time discretization method for strongly nonlinear parabolic systems. Our method is based on backward finite difference for the first derivative with second-order accuracy and the first-order linear discrete-time scheme for nonlinear systems which has been introduced by H. Murakawa. We propose a second-order stabilization method by combining these schemes.
Our error estimate requires testing the error equation by two test functions and showing $W^{1,\infty}$-boundedness which is proved by ($H^2$ or) $H^3$ energy estimate. We overcome the difficulty for establishing energy estimate by using the generating function technique which is popular in studying ordinary differential equations. Several numerical examples are provided to support the theoretical result.

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