東京無限可積分系セミナー

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開催情報 土曜日 13:30~16:00 数理科学研究科棟(駒場) 117号室
担当者 神保道夫、国場敦夫、山田裕二、武部尚志、高木太一郎、白石潤一
セミナーURL https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~takebe/iat/index-j.html

2014年12月11日(木)

15:00-18:30   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
鹿島 洋平 氏 (東大数理) 15:00-16:30
多体電子系における繰り込み群の方法 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
格子上を移動し、相互作用する
電子たちからなる量子多体系を正の温度下で考える。
各次の項を厳密に書き下すことが原理的には可能であ
るという点で、電子間の結合定数に関する摂動級数
展開が物理量を計算するための有効な手法と考えられ
ている。各次の項を直接的に評価することにより、結合
定数が温度のある巾乗よりも小さいならば摂動級数が
収束することが示される。しかし、低温で相互作用する
電子の模型においてこれは厳しい制約である。多体電子
系の物理量の結合定数に関する解析性を低温で証明する
ために、近年繰り込み群の方法が開発されてきた。
そのひとつの発展として、多体電子系の典型的な模型
である平方格子上のhalf-filledのハバード模型に対し
て繰り込み群の方法を構成し、以下のことを証明する。
もし系に格子の最小の正方形あたりの磁束がπ (mod 2π)
である外部磁場が与えられているならば、系の自由エネ
ルギー密度は結合定数に関して体積、温度に依存しない
原点の近傍で解析的であり、無限体積、絶対零度への極限に
一様に収束する。この外部磁場に関する条件は自由エネ
ルギー密度が最小となるための十分条件であることが知ら
れている。したがって、系の最小自由エネルギー密度
についても同様の解析性と絶対零度への収束性が成り立つ。
渋川 元樹 氏 (九州大学マス・フォア・インダストリ研究所) 17:00-18:30
Unitary transformations and multivariate special
orthogonal polynomials (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
ユニタリ変換を用いた直交函数系の研究は古くから知られている.
すなわち, 既知の直交系のユニタリ変換(Fourier変換等)の像を求めることで
新たな直交系を導出し, ユニタリ性からその基本的性質(直交性, 母函数, 微分
方程式等)を解明する, というのがその基本方針である. 一変数の直交函数系に
関してはこのような技法は古くから知られていたが, 近年ではその多変数化(
matrix arguments)の研究もDavidson, Olafsson, Zhang, Faraut, Wakayama et.
alにより行われている.


 本講演では, 特にShenによるcircular Jacobi多項式のFourier変換による描写
を紹介し, その多変数化について述べる. このようにして構成される多変数直交
多項式(多変数circular Jacobi多項式)は, 球多項式の一般化(2-パラメータ変
形)になっているが, 球多項式の拡張として良く知られているJack多項式や
Macdonald多項式とも異なる直交系である. 更にそのweight函数はBourgade et
al.により導入されたcircular Jacobi ensembleとなっており, そのCayley変換
はある種の擬微分関係式を満たすこともわかる.
 加えて多変数circular Jacobi多項式はJack多項式を含むような一般化も可能
である. この一般化多変数circular Jacobi多項式に関するいくつかの予想及び
問題も述べる.

 また時間があれば, 離散型の直交多項式系の代表例であるMeixner, Charlier,
Krawtchouk多項式のユニタリ変換を用いた描写を述べ, その多変数化に関しても
触れる.