2024年度「数学講究XA」テキスト一覧(幾何)
番号 担当教員 開講
学期
テキスト名 著者 出版社 発行年 備考
27 河澄 響矢 教授 通年 Decorated Teichmüller Theory Robert C. Penner European  Mathematical Soceity 2012 p.14 から読み始める。通年。
Teichmüller 空間への組み合わせ的なアプローチについての創始者による教科書。higher, quantum, super などの新しい Teichmüller 理論とも相性がよい。
28 通年 Geometric Structures on Manifolds William M. Goldman American Mathematical Soceity 2023 Part 2から読み始める。 Part1は必要になったときに参照する。通年。
低次元トポロジーで基本的な役割を果たす多様体上の幾何構造の入門書。
29 小林 俊行 教授 通年 Differential Analysis on Complex Manifolds R. Wells. Springer 2010 予備知識:多様体、微分形式、複素関数論・解析の3年生で学ぶ内容
複素多様体と複素解析について、入門から始まり明快に書かれた教科書です。層のコホモロジーや楕円型微分作用素の基礎事項もゼロから説明があり、ホッジ分解や小平の埋め込み定理に到達します。数学の広い分野の基礎となるテキストです。
30 通年 保型形式とユニタリ表現論 高瀬幸一 数学書房 2014  
保型形式を記述するために表現論がどのように使われるかを解説したテキスト。モジュラー形式、テータ級数、Hecke作用素などの重要で基礎的な概念を表現論の視野から広く理解することを目指した教科書。
31 葉廣 和夫 教授 通年 Quantum Invariants of Knots and 3-Manifolds V.G. Turaev de Gruyter 1994  
結び目と3次元多様体の量子不変量についての標準的教科書の一つであり、これらの不変量の代数的・圏論的な手法による構成について、詳細に説明している。
32 通年 Quantum Groups Christian Kassel Springer-Verlag 1995  
量子群の入門書としては少ない予備知識で読めるものである。量子群と呼ばれるHopf代数と、ブレイド群の表現や結び目の量子不変量への応用について解説している。
33 古田 幹雄 教授 通年 K theory Michael Atiyah Westview Press  初版 1967, 第二版1989  
位相的K理論のテキストであり、代数的トポロジーの特段の予備知識は仮定せずに、一般コホモロジーとしてKコホモロジーをゼロから構成している。コホモロジー作用素の非自明な応用例、KO理論の展開も説明されている。
34 足助 太郎 
              准教授
通年 Complex Manifolds without Potential Theory  S.S.Chern Springer 1979  
複素多様体について,複素函数論の難しい話を避けて解説した入門書である.
35 通年 Scissors Congruences, Group Homology and Characteristic Classes J. Dupont World Scientific 2001  
切り取り合同問題(Hilbertの第三問題)は三次元以上では極めて非自明な問題となる.この問題を通して,群のホモロジーや特性類の理解を目指す.物理的には薄いが大部である.
36 植田 一石 准教授
               
通年 Topological Modular Forms Christopher L. Douglas et al. American Mathematical Society 2014  
安定ホモトピー論が数理物理学を通して代数幾何学や数論と交叉する魅力的な分野をなし、導来(あるいはスペクトル的)代数幾何学の導入の動機を与えた位相的モジュラー形式の理論をテーマにして、2007年に行われた大学院生の勉強会の記録。不足している予備知識があれば、必要に応じて他の文献を参照する。
37 通年 Ideals, Varieties, and Algorithms David A. Cox , John Little , Donal O’Shea Springer 2015  
1960年代に導入され、可換環論や代数幾何学に現れる様々な量の具体的な計算を可能にしたGroebner基底について、ほとんど予備知識を仮定せずに書かれた定番の入門書。
日本語訳もある。
38 大島 芳樹 
               准教授
通年 Groups and Geometric Analysis Sigurdur Helgason AMS 2000  
リー群の作用をもつ多様体上の調和解析についての入門書である.ユークリッド空間,球面,双曲空間上の積分変換などの古典的な例からスタートして,リー群の表現論の考え方を学ぶ.
39 通年 D-Modules, Perverse Sheaves, and Representation Theory Ryoshi Hotta, Kiyoshi Takeuchi, Toshiyuki Tanisaki Birkhauser 2008  
前半は代数多様体上のD加群の理論について,後半はその表現論への応用について解説されている.代数多様体や層についてのある程度の知識が必要である.
40 北山 貴裕 
                准教授
通年 An Introduction to Geometric Topology Bruno Martelli 個人出版 2023  
曲面と3次元多様体のトポロジーと幾何について,双曲幾何の基礎的事項から丁寧に解説する入門書である.多様体の様々な分解やその上の幾何構造を題材にして,位相幾何学における有用な知識や考え方が身に付く.著者のウェブページにおいて最新版が公開されている.
https://people.dm.unipi.it/martelli/Geometric_topology.pdf
41 逆井 卓也 
                准教授
通年 Characteristic Classes J. W. Milnor
J. D. Stasheff
Princeton University Press 1974  
ベクトルバンドルの特性類をめぐる位相幾何学の代表的書籍。邦訳も出版されているがオリジナルの方を用いる。進展に応じて関連する文献を講読することも考えている。
42 通年 Topological Invariants of Stratified Spaces M. Banagl Springer 2007  
特異性をもつ空間の位相的不変量に関する書籍。前半では層や三角圏などの基本的道具を揃え、交叉コホモロジー論を構成することを目指す。
43 林 修平 准教授 通年 Differentiable Dynamical Systems: An introduction to
Structural Stability and Hyperbolicity
Lan Wen American  Mathematical Society   通年で使用する
可微分力学系理論の構造安定性と双曲性に関する比較的最近出版された「双曲理論」の入門書です。双曲理論そのものは既に完成されていますが、その先に進むためにはここを通過する必要があります。 著者はこの分野において中心的役割を果たしてきた専門家で、北京大学での講義がもとになっています。
44 松尾 厚 准教授 通年 Lattices and codes W. Ebeling Springer 2013 通年で使用する
本書は、整数論、有限群、代数曲面、特異点、リー代数、頂点代数など、数学の様々な分野に現れて重要な役割を果たす格子に関する入門書である。格子のルート系やテータ級数とモジュラー形式および誤り訂正符号との関係などについて解説したのちに、階数24のユニモジュラー偶格子の分類や、特に興味深いリーチ格子についても詳しく論じられている。
45 通年 Quantum groups C. Kassel Springer 1995 通年で使用する
結び目理論や共形場理論とも密接な関係のある量子群に関する入門書である。Hopf 代数やテンソル圏および量子展開環に関する詳しい解説ののち、Knizhnik-Zamolodchikov 方程式のモノドロミーに関する Drinfeld-Kohno の定理について述べられている。
46 吉野 太郎 准教授 通年 Information Geometry and Its Applications (Applied Mathematical Sciences) 甘利 俊一 Springer 2016 通年
機械学習の数学的基礎付けとして, 情報幾何と呼ばれる分野がある.この分野では, 与えられた可測空間上の確率測度からなる族に多様体構造を定め,多様体論と測度論の両面からこの多様体を研究する.本書は, 情報幾何の創設者である甘利俊一氏によって書かれた入門的な教科書である.