2024年度「数学講究XA」テキスト一覧(代数) | |||||||||
番号 | 担当教員 | 開講 学期 |
テキスト名 | 著者 | 出版社 | 発行年 | 備考 | ||
1 | 阿部 紀行 教授 |
通年 | Lectures on Quantum Groups | Jens Carsten Jantzen | American Mathematical Society | 1995 | 通年で使用する.表現論に関する本であれば,相談の上他の本への変更も可能. | ||
半単純Lie環の普遍包絡環の変形である量子群に関する入門書です. | |||||||||
2 | 通年 | Représentations des groupes réductifs p-adiques | David Renard | Société Mathématique de France | 2010 | 通年で使用する.表現論に関する本であれば,相談の上他の本への変更も可能. | |||
p進群簡約群の表現論に関する(おそらく唯一の)教科書です. | |||||||||
3 | 伊山 修 教授 | 通年 | Elements of the representation theory of associative algebras. Vol.1. | Ibrahim Assem, Daniel Simson, Andrzej Skowroński | Cambridge University Press | 2006 | 通年で使用予定。相談の上、他の本に変更可能。例えば可換環の表現を扱うLeuschke-Wiegand "Cohen-Macaulay Representations". | ||
有向グラフ(箙)は環や圏を理解する上で基本的な道具である。この本は箙を用いた環の表現論(加群圏の構造論)に関する入門書であり、懇切丁寧に書かれている。 | |||||||||
4 | 通年 | Introduction to Cluster Algebras | Sergey Fomin, Lauren Williams, Andrei Zelevinsky | 通年で使用予定だが半年も可能。 arXiv:1608.05735 arXiv:1707.07190 arXiv:2008.09189 arXiv:2106.02160 |
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団代数は今世紀初頭に導入された可換環であり、箙の変異を用いて定められる団変数と呼ばれる特別な有理関数を生成元に持つ。創始者達による執筆途中の教科書の最初の7章(約250ページ)を扱う。 | |||||||||
5 | 小木曽 啓示 教授 |
通年 | Rational and Nearly Rational Varieties | J. Kollár, K.E. Smith, A. Corti | CambridgeUniversity Press | 2004 | |||
代数幾何において最も基本的な対象である有理多様体とそれに近い多様体を題材に双有理代数幾何学の基礎的な事項を学べるテキストです。 | |||||||||
6 | 通年 | Algebraic Geomtery II | D. Mumford, T. Oda | Hindustan Book Agency | 2015 | ||||
スキーム論と代数多様体上の層係数コホモロジー群の基本事項を双有理代数幾何学に直結した形で学べる本です。(まずは1,2,3.7章の主要部を読むことを目標にします。) | |||||||||
7 | 權業 善範 教授 |
通年 | Algebraic Geometry and Arithmetic Curves (Oxford Graduate Texts in Mathematics) | Qing Liu | Oxford University Press, USA | 2006 | 基本通年だが相談可能 | ||
スキーム論を学ぶ。 | |||||||||
8 | 通年 | 連接層の導来圏と代数幾何学 | 上原北斗・ 戸田幸伸 |
丸善出版 | 2020 | 基本通年だが相談可能 | |||
代数多様体上の連接層の導来圏の理論を学ぶ。この本を選択する学生には前提知識としてR. Hartshone, ”Algebraic Geometry”に書かれている知識は習得済みであることは要求する。 | |||||||||
9-1 | 斎藤 毅 教授 | Sセメ | Corps Locaux/Local fields | Jean-Pierre Serre | Hermann/Springer Verlag | 1968/1979 | |||
9-2 | p進体や1変数巾級数体を局所体とよびます。判別式、分岐群、導手などの分岐理論とガロワ・コホモロジーによる局所類体論を主題とする定評のあるテキストです。 | ||||||||
10 | 志甫 淳 教授 | 通年 | Algebraic Geometry and Arithmetic Curves | Qing Liu | Oxford University Press | 2006 | 通年で使用する. | ||
代数幾何学や数論幾何学の研究に必要不可欠となるスキーム理論について,基礎から書かれている本である. | |||||||||
11 | 高木 俊輔 教授 | 通年 | Introduction to Schemes | G. Ellingsrud, J. C. Ottem | 通年で使用する。オスロ大学からダウンロード可能。 | ||||
現代的な視点から書かれた、代数幾何の入門書(レクチャーノート)。説明が丁寧であり、例も多く盛り込まれている分、ページ数が多いので、セミナーでは適宜飛ばしつつ読み進める。 | |||||||||
12 | 通年 | Cohen-Macaulay Rings: Revised Edition | W. Bruns, J. Herzog | Cambridge University Press | 1998 | 通年で使用する。受講者の希望に応じて、特異点論・可換環論に関する別のテキストを用いることもある。 | |||
可換環論の標準的な教科書。``Introduction to Commutative Algebra" (Atiyah‐MacDonald著)程度の知識があれば、読み進めることができる。 | |||||||||
13 | 今井 直毅 准教授 |
通年 | Algebraic Number Theory | J. W. S. Cassels, A. Frohlich | Academic Press | 1967 | London Mathematical Society から2010年出版の第2版あり.Sセメスターのみ使用する予定である. | ||
代数的整数論に関する講義録.局所類体論および大域類体論のコホモロジーを用いた証明について学べる. | |||||||||
14 | 通年 | Abelian Varieties | David Mumford | Oxford University Press | 1970 | 2008年に Hindustan Book Agency から改訂版がでている.Sセメスターのみ使用する予定である. | |||
整数論において重要な役割を果たす Abel 多様体の標準的な教科書. | |||||||||
15 | ケリー シェーン 准教授 |
通年 | D-Modules, Perverse Sheaves, and Representation Theory | Hotta, Takeuchi, Tanisaki | Birkhauser | 2007 | 通年 | ||
D加群は、代数幾何学、解析学、微分方程式、表現論など多様な数学分野をつなぐ活発な研究分野である。本書はその理論を解説し、Riemann-Hilbert対応とKazhdan-Lusztig予想の証明を提示する。日本語版の増補版である。 | |||||||||
16 | 田中 公 准教授 | 通年 | Algebraic Geometry | Robin Hartshorne | Springer | 1977 | 通年で使用する。 | ||
代数幾何の標準的な教科書。現代の代数幾何の統一言語にもなっているスキームの理論を学ぶことができる。 | |||||||||
17 | 通年 | An Invitation to Algebraic Geometry | Karen E. Smith , Lauri Kahanpää , Pekka Kekäläinen , William Traves | Springer | 2010 | セミナーの進度によるが、読み終わったら別の本を読む。 | |||
代数幾何の入門書。具体例に自然に触れられるように配慮されており、抽象論に埋没することなく代数幾何の基礎を学ぶことができる。 | |||||||||
18-1 | 寺田 至 准教授 | 通年 | 古典群の表現論と組合せ論(上)・(下) | 岡田 聡一 | 培風館 | 2006 | 通年で使用する。 | ||
18-2 | 複素数体上の古典群(一般線型群・特殊線型群・直交群・シンプレクティック群)の表現、およびその構成に深く関係する対称群の表現と、さらにそれらに関する組合せ論的な結果などを総合的に扱った本。リー環の一般論から入るのではなく、具体的な群(やリー環)の特性を生かして表現を考察する視点をとっている。 | ||||||||
19 | 三枝 洋一 准教授 | 通年 | The Local Langlands Conjecture for GL(2) | Colin J. Bushnell and Guy Henniart | Springer | 2006 | 保型表現または数論幾何に関する本ならば,相談の上,他の本に変更してもよい. | ||
p進体上の簡約代数群の既約表現とp進体のGalois表現を結び付ける局所Langlands対応について,GL(2)の場合に限って詳細に解説している本.記述が丁寧であり,予備知識がそれほどなくても 読みやすいと思われる. | |||||||||
20 | 通年 | Etale Cohomology Theory (Revised Edition) | Lei Fu | World Scientific | 2015 | ||||
数論幾何における重要な道具の一つであるエタールコホモロジーについての教科書. 読み進めるには,スキームについて,ある程度の予備知識が必要である. |
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21 | 伊藤 由佳理 教授 (IPMU) |
通年 | Introduction to tropical geometry | Diane Maclagan, Bernd Sturmfels | American Mathematical Society | 2015 | Sセメスターで読み、夏季休暇明けに、自主学習報告として発表会をし、その後のテキストについて考える。 | ||
トロピカル代数を用いた幾何学で、いろいろな数学にも、数学以外にも応用がある比較的新しい数学である。 | |||||||||
22 | 通年 | 代数幾何入門 | 上野健爾 | 岩波書店 | 1995 | Sセメスターで読み、夏季休暇明けに、自主学習報告として発表会をし、その後のテキストについて考える。 | |||
代数幾何学の入門書であり、具体例も多い。曲面の特異点解消の具体的な計算など、抽象的な代数幾何学を学ぶ前に読むと良い。 | |||||||||
23 | 戸田 幸伸 教授 (IPMU) |
通年 | An Invitation to Modern Enumerative Geometry | Andrea T. Ricolfi | Springer | 2022 | 代数幾何学に関する本であれば、相談の上他の本に変更しても良い。 | ||
近年出版された、数え上げ幾何学の入門書である。豊富な具体例を通じて数え上げ幾何学に親しむことを目標とする。 | |||||||||
24 | 通年 | Sheaves on manifolds | Masaki Kashiwara and Pierre Schapira | Springer | 1990 | 層やホモロジー代数に関する本であれば、相談の上他の本に変更しても良い。 | |||
多様体上の層の理論に関する教科書である。層の導来圏の基礎事項を習得することを目標とする。 | |||||||||
25 | 阿部 知行 教授 (IPMU) |
通年 | Etale cohomology theory | Lei Fu | World Scientific | 2011 | |||
エタールコホモロジーの教科書である.ハーツホーン2・3章程度の代数幾何学の知識は必要だが,基本的な事項もしっかり書かれており,むしろハーツホーンより読みやすい印象である. | |||||||||
26 | 通年 | p-adic differential equations | Kiran Kedlaya | Cambridge University Press | 2022 | ||||
p進微分方程式論の基礎理論が網羅的に書かれた本である.基本知識はそこまで要求されないが,背景には数論幾何学的な問題意識があるので,そちらも並行して勉強する必要がある. |