\magnification=\magstep1 \documentstyle{amsppt} \baselineskip 14pt \NoBlackBoxes \nopagenumbers \define\R{\bold R} \define\Q{\bold Q} \define\Z{\bold Z} \define\e{\varepsilon} \def\lan{\langle} \def\ran{\rangle} \centerline{2008年度数学I演習小テスト(1)解説} \medskip \rightline{2008年5月8日} \rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)} \rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)} \rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp} \rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}} \bigskip 配点は各小問10点ずつです. 最高点は100点(5人),平均点は63.2点でした. 以下簡単に解説します.(これは「模範解答」ではありません.必要なものについて は授業中にもっと詳しく解説します.) \bigskip [1] (1) どうやってもできますが,きちんとわかってほしいことは左辺の意味は $\dsize\lim_{n\to\infty}0.\underbrace{99\cdots9}_{n\text{\rm 個}}$であると いうことです. (2) 「弧長や面積をきれいに表せるから」というのは間違ってはいませんが, 弱い理由です.「$\sin x$ の微分は $\cos x$ 」というのはラジアンだから こそ成り立つことです.さらにこれから Taylor 展開を学べば,ラジアンが 「自然な測り方」であることがはっきりわかります. (3) $\dfrac{\sin (x+h)-\sin x}{h}$ を $\dfrac{\sin ((x+h/2)+h/2)-\sin ((x+h/2)-h/2)}{h}$ と書いたあと, $\dsize\lim_{h\to0}\frac{\sin h}{h}=1$ を使います. (4) $\dsize\lim_{n\to\infty}(1+\frac{1}{n})^n$ あるいは $\dsize\lim_{n\to\infty}\sum_{k=0}^n \frac{1}{k!}$ または, 「$y=a^x$ の$x=0$ における接線の傾きが1になるような $a$」, 「$\dsize\int_1^a \frac{1}{x}\;dx=1$となる $a$」など いろいろあります. \bigskip [2] (1) $a,b,x,y$ を実数として,$\alpha=a+bi$, $z=x+iy$ とおけば, $x^2-y^2=a, 2xy=b$ を解くことになります.「$a,b$のどちらも0でない場合」 と「$a,b$の片方が0である場合」についてグラフを描いて考えればわかります. (2) 平方完成による通常の解の公式の導出を見れば,係数が複素数でも そのまま成り立つことがわかります. \bigskip [3] $(1+1)^n$ に2項定理を使うと,$n\ge4$ のとき, $2^n\ge n(n-1)(n-2)(n-3)/4!$ がわかります.これより, $\dsize\lim_{n\to\infty} \frac{a_n}{b_n}=0$ がわかります. $n\ge 3$ のとき,$2^n/n!\le2 (2/3)^{n-2}$ なので, $\dsize\lim_{n\to\infty} \frac{b_n}{c_n}=0$ がわかります. $x_n=\dfrac{c_n}{d_n}$とおくと,2項定理より $\dsize\frac{x_n}{x_{n+1}}=\left(1+\frac{1}{n}\right)^n\ge2$ となります. これより,$x_n\le x_1/2^{n-1}$ となって $\dsize\lim_{n\to\infty} \frac{c_n}{d_n}=0$ がわかります. \bigskip [4] どの本にでも出ているので省略します. \bye